社会人生活が短く、まだまだ貯蓄が少ない20代の場合、結婚式への招待が重なった、急に遠方の実家へ帰省しなくてはいけなくなった、給料日前に断れないイベントがある、など手持ちのお金では足りなくなることがあります。

買い物ならばクレジットカードのボーナス一括払いという方法もありますが、現金が必要な場合はそうはいきません。そんなとき、どうしますか? 少額といえども借金ですから可能ならば避けたいところですが、どうしても必要なときはできるだけ賢くお金を借りましょう。

カードローンには、大きく分けて2種類に

「カードローン」とは「使い道が自由な個人向け無担保融資」のこと。200万円以下くらいならば、運転免許証があればその場で審査ができるなど、簡易な手続きでお金を借りることができます。かつては、このような個人を対象とした小口融資を行うのは貸し金業者がほとんどで、"サラ金"などと呼ばれイメージがよくありませんでした。ところが近年では銀行も取り扱うようになり、借入先の選択肢が増えています。

銀行系も消費者金融系も商品性は大きく変わりませんが、主な違いをまとめたのが下の表です。

銀行系と消費者金融系カードローンの主な商品性

現在では出資法の上限金利の引き下げや貸金業法の改正で、消費者金融も金利上限は高くても年18%とされるケースが多く、金利では大きな差がなくなりましたが、それでも銀行系の方がやや低め。普通預金口座を保有していればWEBのみで借りられるなど、手続きも簡単です。また消費者金融には個人の借入額を年収の3分の1までにする"総量規制"が課せられますが、銀行は対象外なので逆にまとまったお金は借りやすいともいえます。

特徴あるサービスでカードローンを強化する銀行系

銀行のカードローンでは、金利を引き下げるなど強化する動きが広がっています。というのは、日銀のマイナス金利政策や金融機関の顧客獲得競争が激しくなっているから。下限金利を引き下げたり、顧客を優遇したりするなど特徴あるサービスを行っている銀行系カードローンの主なものをまとめたのが下の表です。

銀行系カードローンの特徴ある商品の例

このほかにも、女性専用ローンで特徴を打ち出している銀行もあります。例えば、3カ月ごとの平均残高に応じて抽選でプレゼントが当たる、みずほ銀行の「みずほMyWing わたし応援ローン」、食事や旅行が割引優待になるサービスを利用できる武蔵野銀行の「むさしの女性専用フリーローン キラリエ」など、金利以外でアピールしているものもあります。

カードローンに抵抗がある人は「総合口座貸越」を

"少額で短期間だけど、やっぱりカードローンには抵抗がある"という人は、いざというときに備えて、定期預金を総合口座にセットしておくという方法があります。総合口座のサービスのひとつで、普通預金だけでなく定期預金もセットにしておくと、定期預金合計額の90%、または200万円のいずれか少ない金額までなら自動融資を受けられるというもの。

これを利用すれば、定期預金を解約することなくお金を借りることができます。金利は担保となる定期預金利率+0.5%。メガバンクの場合、現在の定期預金利率は0.01%ですから0.51%となります。カードローンなどと比べると、この方法で借りるのがいかに有利かわかります。

ただし注意したいのは、申し込みが不要のため普通預金残高がゼロになると自動的に融資が行われてしまうこと。お金を借りているという自覚がないままに、口座残高がマイナスになり金利を支払う必要が生じる可能性があるのです。利用するなら預金残高は定期的に確認する、セットする定期預金は少額にしておくといったことが必要です。

いずれにしても、お金を借りるときは"本当に必要なお金なのか"をいま一度自問自答し、金額、期間、金利を最小にすることを心がけましょう。


鈴木弥生
編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。