これからの季節はノロウイルスによる食中毒に注意が必要となる。ただ、食中毒の原因はさまざまに分類できる。カンピロバクターなどの細菌性のものも有名だが、実はヒ素や鉛などといった化学性のものもあることをご存じだろうか。

これらは有害ミネラルと呼ばれるが、この有害ミネラルが体内にたまるのはよほど特別な環境下でしか起きないことのように感じている人もいるかもしれない。ところが、有害ミネラルは私たちの日常、特に日本人の食生活とは切り離せない問題なのだ。その現状と対応策を、内科医の関由佳医師に伺った。

すしなどに用いられる生魚は有害ミネラルを含有していることがある

有害ミネラルの代表例はマグロなどに含まれる水銀

関医師が有害ミネラルのわかりやすい例としてあげてくれたのが、2015年に公開された映画『マイ・インターン』。作品内で、アン・ハサウェイ演じる主人公が「おすしはやめておくわ。水銀の過剰摂取になるから」と答えるワンシーンだ。

健康や美容に意識の高い海外の人の間では、水銀に代表されるような有害ミネラルは「生魚を食べることで摂取される」という概念が定着していることを表すセリフといえる。

では、有害ミネラルにはどのような種類があるのだろうか。多量に摂取するとどうなるのか、そして何によって体内に蓄積するのかと併せて紹介しよう。

カドミニウム
排ガスやたばこ、石油に含まれ、腎機能障害や重傷の骨軟化症、貧血を招く。

水銀
大型魚や深海魚、アマルガム、ワクチンに含まれ、アトピー性皮膚炎や中枢神経障害などを招く。


水道水や白髪染め、たばこに含まれ、造血機能を阻害したり、子供の脳の発達に影響を与えたりする。

ヒ素
残留農薬や魚介類、海草類に含まれ、色素沈着や皮膚がんなどにつながる恐れがある。

ベリリウム
汚染された大気や電気機器に含まれ、DNAの複製阻害や肺がんなどのリスクを高める。

アルミニウム
調理器具やアルミ缶、ベーキングパウダー、ワクチンに含まれ、アルツハイマー症候群をはじめとするさまざまな精神障害を招く可能性がある。

マグロなどの大型魚を食べる日本人は、ほぼ100%の人が毛髪に有機水銀の蓄積が認められると考えられている。日本人にとって定番の食材であるひじきにおいては、2004年7月に英国食品規格庁が「有機ヒ素を多く含むため、食べないように」との勧告を発表したというちょっとショッキングな話もある。

このような有害ミネラルは、通常は解毒されて体外へと排出されるもの。ところが、摂取しすぎたり腸内環境が整っていなかったりすると、十分に解毒しきれずにさまざまな不調を招いてしまう。体内にどの程度の有害ミネラルがたまっているかは毛髪検査でわかるため、気になる人は専門医などに相談してみるといいだろう。