服用時の下痢や嘔吐、薬との併用に注意

飲み忘れることなく、用法をきちんと守って飲んだ場合、ピルは約99.9%という高い避妊効果を発揮します。しかしその場合でも、妊娠する確率が約0.1%あります。もちろん、飲み忘れたり、飲む順番を間違えたりした場合にも、避妊効果は下がります。こうしたミスも含めた服用では、避妊率は約99.5%になるといわれています。

ピルを正しく飲んでいても妊娠した場合、考えられる原因の一つは、嘔吐(おうと)や下痢です。特に激しい下痢や嘔吐が続くと、ピルに含まれているホルモンの成分が吸収されにくくなり、避妊効果が下がってしまうのです。また、医療機関で処方される一部の抗生物質や、気分の沈みを改善するといわれるハーブ「セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)」の成分を含んだサプリメントは、ピルの避妊効果を下げることがわかっています。

これらの原因は、避妊のためにピルを服用する際の注意点とも言えます。ピルのほかに薬やサプリメントを飲みたい場合や、下痢や嘔吐をした場合は、ピルの処方を受けた婦人科・産婦人科の医師に相談しましょう。また、風邪や歯の治療などで他の医療機関を受診する際に、ピルの服用を担当医師に伝えることも重要です。

他の避妊法との併用がすすめられる場合

ピルを飲んだ初日から避妊効果を得たい場合、「生理初日(生理が始まってから24時間以内)に飲み始める」のが原則です。そうすることで、服用を開始した日から高い避妊効果が得られます。しかし、出血が少量だったり、寝ている間に生理が始まったりした場合、生理初日がいつかよくわからないことがあります。その場合は、明確な出血を認めてから服用を開始し、2週間は他の避妊法も併用しましょう。

また、ピルには性感染症を予防する効果はありません。避妊効果を確実にするためにも、性感染症予防の意味でも、コンドームと併用することをおすすめします。

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記事監修: 鈴木俊治 医師

葛飾赤十字産院 副院長
日本産婦人科医会 副幹事長
1988年長崎大学医学部卒業、日本医科大学付属病院産科婦人科学教室入局、葛飾赤十字産院産婦人科派遣をへて米国ロマリンダ大学胎児生理学教室へ研究留学。帰国後、日本医科大学産科婦人科学講師、学助教授、東京臨海病院産婦人科部長を経て、現在は葛飾赤十字産院にて副院長を務める。