少し前には想像もしなかったようなテクノロジーが、日常生活にあふれている現代。未来の住まいはどうなっていくのだろう。東京・青海の野外特設会場では7月30日から8月28日まで、「CO-DIVIDUAL 分かれてつながる、離れてあつまる」をテーマにイベント「HOUSE VISION 2016 EXHIBITION」が開催中。住宅関係にとどまらない多種多様な業界の有名企業が、それぞれの技術やヴィジョンを生かした住まいの形を展示している。名だたる出展社が描いた12の"近未来の住まい"の姿を紹介しよう。

「HOUSE VISION 2016 EXHIBITION」で描かれる、近未来の住まいとは?

1.ヤマトホールディングス「冷蔵庫が外から開く家」

主に宅配便事業を展開するヤマトホールディングスは、プロダクトデザイナーの柴田文江氏と共に「冷蔵庫が外から開く家」を出展。住宅の外壁に埋め込んだようなデザインの宅配ボックスが特徴だ。

ボックスにはインターネットに接続されたコントロールパネルが搭載されており、配達員のIDチェックや顔認証機能のほか、配送や集荷があると住人の携帯電話に通知を送る機能も搭載。冷蔵・冷凍ボックスもそなえ、生鮮食品など、温度管理が必要な配達物にも対応する。

コントロールパネルで配送や集荷もおしらせ

このシステムにより、家の外側から配達員が荷物を入れ、しかるのちに住人が家の内側でボックスから荷物を取り出す、といった流れが可能になるのだ。

配達員が荷物を入れると……

住人が、中からいつでも取り出せる

2.Airbnb「吉野杉の家」

スマホアプリやインターネットを通じて宿泊施設や一般家庭の空き部屋を貸し借りできるサービスを展開するAirbnbは、建築家の長谷川豪氏と「吉野杉の家」を発表した。

「吉野杉の家」

奈良県吉野町の吉野(よしの)杉で作られたこの住宅が目指すのは、「コミュニティがホストとなる家」。1階は町の人々に開放されたコミュニティスペースとして、2階の屋根裏部屋はゲストの宿泊空間として活用する。特定個人ではなく、その家がある地域そのものがホストとなる家だ。

1階は地域の人々に開放

「吉野杉の家」は、「HOUSE VISION」の会期終了後に再び吉野町へと運ばれ、Airbnbに登録される。東向きの日の出の部屋と、西向きの日の入りの部屋を有した川沿いの家として、ゲストとコミュニティをつなぐ予定だ。宿泊は11月ごろから可能になるという。

2階の屋根裏部屋にゲストが宿泊する

3.パナソニック「の家」

パナソニックと建築家の永山祐子氏は、「の」の字型の丸い壁面に囲まれた住宅を提案。特徴的なその形は、入り口から室内へと自然に導くような動線を描く。

「の」の字型の丸い壁面が特徴の「の家」

曲面の壁は全てがスクリーンとなっており、家のどこにいても映画やテレビ電話、WEBサイトなどを楽しめるのが特徴だ。それだけでなく、ショッピングやAIを使ったセキュリティーシステムなど、住人が壁を通して外界とさまざまな接点を持てるような機能の搭載も視野に入れる。

壁は全てがスクリーンとなっている

屋根のてっぺんには"風見猫"のセンサーが付いており、外気の状態を察知して室内の住人にフィードバック。まるで1つの家電のような、ミニマルに洗練された高機能住宅である。

屋根には外気の状態を見張る"風見猫"のセンサーが

4.無印良品「棚田オフィス」

「棚田オフィス」

無印良品と建築家ユニットのアトリエ・ワンは、稲田の光景を見ながら仕事ができるサテライトオフィス「棚田オフィス」を構想した。

1階は、田植え、稲刈り、収穫など、農作業に必要な道具をそろえる「農」空間として活用。2階は、外の景色を眺めながら仕事ができる「オフィス」空間としてデザインしている。

パソコン1台で仕事ができるワーカーが、晴れた日は農作業を手伝い、雨の日はこのオフィスで稲田を見ながら仕事をする……。現代の晴耕雨読とも言うべき生活を実現する「棚田オフィス」が提案するのは、都市と農村の二拠点居住だ。

1階は「農」空間

2階は「オフィス」空間として活用する

5.三越伊勢丹「遊動の家」

百貨店の三越伊勢丹は、建築家の谷尻誠・吉田愛両氏との協働により「遊動の家」を描き出した。この家の仮想施主は、"パソコンがあればどこでもオフィス"という状況で、世界中を飛び回りながら仕事をこなす「ニューノマド」とも言うべきビジネスパーソンだ。

マンションの1室を想定した「遊動の家」は、室内に3棟の小屋を配したような構造。小屋はそれぞれ、茶室・寝室・洗面所&浴室となっている。"地面"にあたる床の高さにはキッチンとダイニングを配すことで、知人を気軽に招いてもてなすことができ、また各所を飛び回る拠点としても快適な空間に仕上げた。

「遊動の家」のキッチンとダイニングは床の高さに

3つの"小屋"を部屋の中に配したデザイン

三越伊勢丹は、その高い商品調達力を住まいづくりに生かす。家具や食器などのアイテムのほか、建築家と施主との媒介の役割も果たし、「保守的になりがちな高額の取引に、ため息の出るようなソリューションを調達」していくとのことだ。

6.大東建託「賃貸空間タワー」

賃貸住宅の建築や管理を行う大東建託は、建築家の藤本壮介氏と「賃貸空間タワー」を創造。ブロックが積み重なったような造りのこの建物のテーマは、「賃貸住宅の再定義」だ。

「賃貸空間タワー」

専有空間である居室の面積を最大化し、共用部は通路のみとなっていた従来型の賃貸住宅に対し、「賃貸空間タワー」のプライベート空間は最小化されている。代わりに、ライブラリーやキッチン、浴場、シアタールームや庭などが広々とした共有空間として備えられているのだ。

ライブラリーやキッチンなどの共有空間を備える

居室を一歩出れば、そこには単調な廊下ではなく、住民1人ひとりが作り上げた複合空間が広がる。まるで小さな街のような集合住宅。これは、新しい賃貸住宅の形の提案である。

その空間は小さな街のようだ

ここまでで6社の展示を紹介した。次のページでは、さらに6社の展示を紹介。あっと驚くようなテクノロジーを使った住宅も登場する。