7.LIXIL「凝縮と開放の家」

LIXILは、建築家の坂茂氏と共に「凝縮と開放の家」を提案。風呂・トイレ ・キッチン・洗面といった水回りをひとまとめに凝縮すると同時に、建物の外枠をそのままなぞったような"家型"のフレームを土台に取り付けることで、柱のいらない開放的な骨組みを実現した。

「凝縮と開放の家」

"家型"のフレームで開放的な骨組みに

給排水を床下ではなく上方で処理しているため、水回りのユニットは、工事や間取りの制限から開放され、部屋のどこにでも配置可能となっている。梁(はり)や柱の代わりに家を支えるフレームは、紙のハニカムボードを合板で挟んだ、軽くて強靱(きょうじん)な「PHPパネル」だ。

ローコストで輸送ができ、短い工期で簡単に建てられるため、災害時の仮設住宅として活用可能な家となっている。

8.住友林業「市松の水辺」

住友林業は、建築家・隈研吾氏による構成と、プラントハンター・西畠清順氏の植物のあしらいによって、人々が安らげる植栽空間を生み出した。

「市松の水辺」

「市松の水辺」は、住まいというより、行き交う人々が足を止めて安らぐ公園や庭に近い。ヒノキ集成材の立方体で作った床と、座って足をつけられる水辺、そして西畠氏による2色のカエデをグリッド状に配置し、日本の伝統柄であり、欧米でもチェッカー模様として親しまれる市松模様をデザインしている。

模様の1コマは1辺1.5mの正方形。これは、遠すぎず近すぎない、人々がおしゃべりをしながら休むのにちょうどいい距離感だそうだ。2020年の東京オリンピックも視野に、野外での新しい憩いの場を提案している。

涼しげな水辺に、植物の落とす陰が心地良い

9.凸版印刷「木目の家」

「木目の家」

印刷会社の凸版印刷は、日本デザインセンター 原デザイン研究所と共に「木目の家」を発表した。外観からして、角材を数十倍に拡大したような異様な見た目のこの建築。凸版印刷の技術の粋を尽くした住宅となっている。

中に入ると、壁も床も木の化粧材でできているように思われるが、これらは全てプリント。見た目だけでなく、感触まで木に近づけた精細極まるテクスチャーを体験できる。

他にもこの家には、プリント化粧材ならではのギミックが満載だ。人を感知してLEDによるメッセージや記号が壁や床に浮かび上がったり、透明な窓が一瞬で不透明になったり。ほかにも、座るだけで生体情報を読み取ってストレス度をフィードバックしてくれるイスもあった。

感触や質感も木そのもののプリント化粧材には、LEDによるギミックも

透明な窓が一瞬で不透明になるような素材もある

10.TOTO・YKK AP「内と外の間/家具と部屋の間」

TOTO、YKK AP、建築家・五十嵐淳氏、家具デザイナー・藤森泰司氏の4者が提案する住まいは、「内と外の間/家具と部屋の間」。上から見ると、扇のような形となっている。

扇の要にあたる部屋は、行為と行為の間にある"はじまりの空間"。その部屋にある窓の奥に、入浴や睡眠、くつろぎや食事といった異なる役割を持つ部屋が続いている。つまり、部屋と部屋をつなぐ開口部が、ドアではなく窓なのだ。

窓の奥に部屋が繋がる「内と外の間/家具と部屋の間」

窓は単なる壁の開口部ではなく、奥行きを持った開口部として機能している。また、それぞれの部屋の家具は部屋から切り離された道具ではなく、部屋と一体化し機能と空間を同時に生み出す。窓や家具の新しい可能性を切り開いた家だ。

家具は単なる道具ではなく、部屋と一体化してその空間を形作る

11.TOYOTA「グランド・サード・リビング」

TOYOTAは、隈研吾氏の着想をもとに「グランド・サード・リビング」を発表。電気でもガソリンでも走行可能で、ソーラー充電システムにより太陽光発電もできる同社の自動車技術「PHV(プラグインハイブリッド)」をエネルギーの供給源として活用している。

自動車技術「PHV(プラグインハイブリッド)」を使った「グランド・サード・リビング」

軽く強靭な炭素繊維の骨と、丈夫で空気を通さない繊維でできたテントをPHVの荷室に格納し、自動車からエネルギーを共有。これにより、エネルギーインフラのない辺境地でも快適な空間を確保できるという発想だ。

テントと自動車からのエネルギーで、辺境地でも快適な空間を確保できる

移動手段としてだけではなく、居住空間との新たな関係を見つけてくれる道具としての車の可能性を追求した展示である。

12.カルチュア・コンビニエンス・クラブ「電波の屋根を持つ家」

カルチュア・コンビニエンス・クラブと日本デザインセンターは、現代、そして近未来の家族のありかたを模索する。物理的な屋根ではなく、端末を通じた「電波の屋根」によって今日の家族は作られる、という。

同社がサービスを展開しているスマートフォン「TONES」は、一方の端末のガラス面をたたくと相手の端末にノック音が響いたり、相手の位置情報や端末の充電状況などを把握できたりする。こうしたサービスにより、離れて住む人々に家族の親密さを生み出すというわけだ。

展示会場には、他の展示のように凝った建築もインテリアもない。代わりに、たくさんのイスとVRグラスが並べられている。中島信也氏の制作によるVR映像で、「電波の屋根による人間ドラマ」をのぞくことができる。

「電波の屋根を持つ家」では、「電波の屋根による人間ドラマ」をVRで楽しめる

住まいから広がる可能性を考える

「HOUSE VISION」では他にも、AGFによる「冷涼珈琲店―煎」や、出展者に関わる書籍などをそろえる「蔦屋書店」なども楽しめる。住まいの未来をめぐるさまざまなアイデアに触れながら、これからのライフスタイルについて考えてみたい。

「冷涼珈琲店―煎」のアイスコーヒー

「蔦屋書店」も