『アイドルマスター ミリオンライブ!』や『テラフォーマーズ リベンジ』など、様々な作品で活躍中の声優・平山笑美。キャラクターソングでの透き通るような歌声や、ライブイベントで見せる抜群の存在感を武器に、聴く人の心を揺さぶってきた。
平山は、2016年5月に設立されたアニソン・声優アーティストの新人専門アニソンレーベル「PRESTAR(プレスター)」にオープニングアーティストとして参加。満を持してのソロ活動についてだけでなく、声優デビューに至った経緯や、歌に対する想いについて直撃した。
アニメのキャラクターになれるなんてすごい!
――今回はソロ活動についてももちろんですけど、平山さん自身についてもお聞きしたいと思っています。声優という職業を意識したのはいつからですか?
小学校2年生の時、アニメを観ながら母に「なんで絵がしゃべっているの?」と聞いたんですよ。そうしたら「声優という役者さんがいて、声をあてているんだよ」って教えてもらって、その時に声優という職業があることを知りました。もともとアニメや劇が好きでずっと観ていたので、「アニメのキャラクターになれるなんてすごい!」と思ったのがきっかけですね。
――そこからなんとなく意識するように。明確に「声優になる」と決めたのは?
4年生の時ですね。私が声優に興味があるなんて誰も知らないはずなのに、担任の先生から「平山さんは声がきれいね。声優さんになったら?」って言われて、「じゃあ私は声優になる!」ってノリノリに(笑)。
――そこで決意したんですね。小さいころはどんなアニメを観ていました?
DVDがたくさんあるくらいジブリ作品が大好きな家庭だったので、私も画質が粗くなるまで繰り返し観ていました。『魔女の宅急便』とか『風の谷のナウシカ』とか。あとは『天空の城ラピュタ』! シータのものまねが得意なんですけど、いままで誰にも賛同してもらったことがなくて……。
――いま披露していただいても。
ぜひ! シータが小さい穴からパズーに飛行石を渡すシーンです。(腕を目一杯伸ばしながら)「海に捨ててぇ~!」。……わかります?
――シーンの選択がマニアックだ! ポイントは「捨ててぇ~!」の最後の伸ばし方ですね。
そうです! 「捨ててぇ~!」って。
――読者に伝えられないのが残念です。話を戻しまして、4年生で声優を志し、中学生の頃は夢に向かってなにか勉強をしていたり?
その頃は学校が大好きだったので、文化祭とか合唱祭とか、とにかく出し物系を頑張って満喫していましたね。いろいろやるのは高校からかなって。
――進路も考えないといけない時期ですしね。
高校では3年間、演劇部を続けていました。劇団で活躍しているプロの方を講師に招いて指導してもらうなど、精力的に活動してる演劇部だと聞いたので、その高校に入学しました。
――演劇部ではどういった役を?
消えちゃいそうな儚げでおとなしい、清楚な役を演じさせていただくことが多かったですね。優等生的な。
――平山さんのイメージからそういった役に。
うーん、でも私は清楚な感じではないので……。同期のおとなしい子は活発な役をやっていたので、本人とは真逆のキャラクターを演じることが多かったですね。
――あえて逆の役、鍛えられそうですね。進路として獣医さんにも憧れていたとお聞きしました。
そうなんですよ。進路を決める時に、「動物に関わる仕事もいいなあ」って。でも、私はどちらかというと文系だったので、お勉強の面で……(笑)。なので、好きなお芝居の方で頑張っていこうと。
――猫がお好きですもんね。
大好きなんですけど、残念ながら猫アレルギーで……。
――いまは動物の役を演じることが多いですよね。
本当に多いですね、特に猫役はたくさん! 3、4匹くらいはやらせていただいていますね。
舞台のお芝居と声だけのお芝居は違う
――高校を卒業して専門学校に入学して、本格的に声優の道へ。
はい。高校1年生のころからいろいろな学校の見学に行って、決めたのが東京ダンス&アクターズ専門学校という学校です。名前の通り、ダンス科とアクターズ科があって、私はもちろんアクターズ科です。「ダンス&アクターズ専門学校出身です」と言うと、「ダンス出来るんだ」って聞かれるんですけど、私はてんでダメでした(笑)。
――授業でダンスをやることもあるんですよね。
基本的にダンス科の人と一緒に授業をやることはないんですけど、アクターズ科のカリキュラムにもダンスはありました。学校行事として、全学年数百人が参加するミュージカルがあるんですけど、この時はすべてのコースの人がオーディションを受けるので、一緒にやりましたね。
――平山さんはそのミュージカルには?
ありがたいことに、私は1年生の時、アクターズ科として唯一セリフ付きのキャストで出演させていただきました。、
――最初の大舞台ですね。
「とにかく成功させなきゃ!」って気持ちのほうが大きくて、舞台に立っているときのことは覚えていないんですよ。むしろ、稽古期間の方がよく覚えています。ミュージカルなのでダンスシーンがあるんですけど、ダンス科が多く出演しているので専門的な振り付けが多いんです。バレエっぽいダンスを踊るシーンがあったんですけど、私はそんなの一回もやったことない(笑)。本番2~3週間前にダンスの先生にチェックしてもらったら、「踊れないんだったら、降ろします。このシーンには出ないで」と言われてしまって……。でも、一緒のグループだったダンス科の仲間たちに特訓してもらい、なんとか端っこの方で踊りきることができました。
――相当なプレッシャーですよね。いままでやったこともないのに。
しかもアクターズ科は私一人ですから……、「もう無理」と思った瞬間もありました(笑)。
――アクターズ科での思い出は?
高校の演劇部でやっていた舞台のお芝居と、声だけのお芝居は違うということに気付きました。舞台での経験が応用できることもあるんですけど、違う技術も発揮しないといけないので、「どうしたらいいんだ」って戸惑いはありました。
――その戸惑いを飲み込めた時期は。
やっぱり専門学校を卒業して、先輩方とマイクの前で並んでお仕事をさせていただいた時ですね。そこで初めて「こういうことだったんだ」と肌で感じました。
――実戦でやっと腑に落ちたんですね。デビュー作はドラマCDですか?
そうですね。彼氏がいるメガネっ子で、真面目で冷静沈着だけど怒ると怖いというキャラクター。術を使うんだけど、ロボットに乗るみたいな世界観の作品でしたね。ドラマCDなので、それこそ声だけで表現しないといけないので、大変でした。コンピューター系のワードも出てきて難しかったです。
早くプロデューサーさんの前に出たい!
――これまでで印象に残っている役といえば。
やっぱり、『アイドルマスター ミリオンライブ!』の北上麗花ちゃんですね。キャラクターソングを歌わせてもらったり、ライブで一緒に踊ったりと、いろいろなことをやらせていただいています。特にライブでは、いままで苦手だったダンスを披露しているんですけど、専門学校時代にやっていたことが、いまちゃんとお仕事で生きています。ありがたい経験でした。
――これまでにも『ミリオンライブ!』のリリースイベントには出演されていましたけど、3rdツアー・福岡公演では初出演のアニバーサリーライブでいきなりソロのトップバッター。最初に聞いた時はいかがでしたか?(「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!」は、1月31日から4月17日まで名古屋、仙台、大阪、福岡、幕張の5都市7公演で開催された全国ツアー)。
順番が発表された時はまず、「ええっ!?」と思いました(笑)。リリースイベントの時は2~3番目とか真ん中くらいの位置だったので、みんなの空気感に引っ張られながらの登場という気持ちでした。でも、福岡公演のときは、まず全員で「Dreaming!」を歌い、上田麗奈さんと種田梨沙さんが「Understand? Understand!」を披露して、その次に私のソロだったので、いつもとは空気感が違いました。いきなり一人で出て行かないといけないんですよ。すごいビビッていました(笑)。
――ステージに立った時のことは覚えていますか?
リリースイベントでは自前の衣装で出演することが多かったんですけど、3rdツアーのときは、衣装を作っていただいたんです。衣装を着ると気持ちが違ってきて、緊張はありましたけど、「早くステージに立って、プロデューサーさんの前に出たい!」と思っていました。自分でも不思議でしたね。ステージに立った時も、プロデューサーさんの声がちゃんと聞こえてきて、「なんか楽しいな」って。
――平山さんが披露したのは、「サマ☆トリ~Summer trip~」。平山さんのパフォーマンスで、会場の雰囲気が一瞬で変わったのを覚えています。「なるほど、ソロのトップバッターだな」と。
うれしいです! 自分ではまったくそんな自覚がなくて、とにかく一生懸命でした。
――雨宮天さんとのデュエット曲「piece of cake」も歌っていましたね。ソロとはまた違った表現をしないといけないデュエット曲ですが、意識されていたことは。
「天ちゃんの声をちゃんと聴かないと」と思っていました。相手の声をよく聴いて、一緒にハーモニーを作っていかないとなって。
――歌う前にお二人で話し合われたりとかは。
あまり打ち合わせはしていないですね。「ここズレそうかな」ってところを指摘し合った記憶はあるんですけど。福岡公演のメンバーは、結構、陶酔するというか、一人で士気を高めるタイプが多かったですね。話し合うよりも、肌で感じ合っていました。
――『ミリオンライブ!』、次は2017年3月の武道館公演ですね。
頑張ります! すっごい楽しみ! だって武道館ですからね。街にいる100人に「武道館で歌ったことありますか?」って聞いても、まず居ないじゃないですか。そんな舞台に立てるんだったら、楽しまなきゃ損ですよね!