テレビ朝日系朝の情報番組『グッド!モーニング』(毎週月~金曜4:55~8:00 ※一部地域除く)が好調だ。4月クール(4~6月)の7時台平均視聴率は7.9%となり、前年同期に比べ2.4ポイント上昇。今月6日には、番組歴代最高となる10.2%を記録し、朝の激戦区で存在感を示しはじめた。

同局の編成部長(当時)もマイナビニュースのインタビューで「衝撃的な躍進」と評価したこの背景はなにか。本番後の反省会を終えた、同番組の桐永洋チーフプロデューサーを直撃した。


『グッド!モーニング』桐永洋チーフプロデューサー
1970年生まれ、広島県出身。早稲田大学を卒業し、93年に全国朝日放送(現・テレビ朝日)入社。『ニュースステーション』ディレクター、社会部記者、ロサンゼルス支局長、『スーパーJチャンネル』デスク、編成部報道情報担当部長などをへて、2015年7月から『グッド!モーニング』チーフプロデューサー。

同局の朝の時間帯は、長らく他局の後塵(こうじん)を拝する状況が続いていた。そんな中、番組スタッフに加え、編成の報道出身者やバラエティ出身者などジャンルを超えたメンバーで、改善に向けた方策の議論を開始。ここから、"安心感・安定感"と"まとめ"というキーワードが導き出され、昨年7月に桐永氏が『グッド!モーニング』のチーフプロデューサーに就任した。

キーワードの1つ目"安心感・安定感"は、テレビ朝日の視聴者に、比較的真面目な番組を好む傾向があることを踏まえて設定したテーマ。大人に選んでもらえる番組を目指すべく、「落ち着いて見られる"安心感・安定感"というのを大事にしようと心がけています」(桐永氏=以下同)という。

キャスター陣は、同局のアナウンサーが担当。「坪井直樹、松尾由美子というニュース番組を長く担当してきたアナウンサーの安定感を前面に打ち出して、その周囲を池上彰さんや林修さん、ゴン中山さんなど少し豪華にして、チャンネルを合わせてもらうきっかけを作ろうとしています」と狙いを明かす。

さらに、天気予報を担当する気象予報士の依田司氏も、90年代から同局の報道・情報番組で活躍する安定感抜群のベテラン。「依田さんの存在はすごく大きいですね。天気予報のコーナーは時間を広げて、1日4回もやっています(笑)」と、強い信頼を寄せている。

『グッド!モーニング』キャスターの(左から)テレビ朝日松尾由美子アナ、坪井直樹アナ、田中萌アナ

もう1つのキーワードである"まとめ"。情報番組を担当するのが初めてだった桐永氏は「視聴者が朝に望んでいるのは、家を出る前に知っておいた方がいい情報を、分かりやすくコンパクトに提供してくれる番組なのではないか」と思案した。

情報を分かりやすく整理整頓することは、テレビ番組として当たり前のことではあるが、この作業を"まとめ"と称し、コーナータイトルやテロップなどに多用することで、"朝の情報まとめ番組"というコンセプトを前面に打ち出した。「『グッド!モーニング』を見ると、情報がまとまっていて分かりやすい、と思ってもらえるよう、"まとめ"というコンセプトで差別化を図りました」と話す。