「自分の言葉」の引き出し方とは?

――実際に、人を動かすような「自分の言葉」はどうしたら引き出せるのでしょうか?

まず前提として知らなきゃいけないのは、「全部を言わなくていい」ということ。逆に「一部に絞らなきゃいけないんだ」と考えましょう。例えば、目の前にペットボトルのお茶が置いてあって「これって、どう思います?」ってザックリ言われても、困るじゃないですか。だけど、僕がその商品のことを教えるとしたら「これ、CMが京都っぽいんだよね。だからこれを飲むとちょっと京都を感じて、なんか好きだな」とか言いますね。

木暮太一さん「全部を言わなくていい」

それくらいでいいんですよ。絞って絞って、自分が「あ、これちょっとおもしろい」とか、「ん?」と引っかかったところについて教えてあげようとすると、素直に言葉にできます。要は、自分が考えている小難しいことを捨てていけばいいんです。

――全部に触れなくていいと言われると、捨てることに多少の勇気もいりますが、「それでいいんだ」と安心しますね!

そして、絞るために必要なキーワードが「これすげぇんだよ」とか「これすごくない?」です。このフレーズのあとに続けるとしたら、自分がすごいと思ってるポイントしかきっと出てきませんよね。しかも、そう言えば、そのことについて話している理由が相手に伝わるので、会話も続きやすくなります。もちろん、無理やりすべてのことに対して言わなくても、本当に「すごい」「へ~!」と思ったものにだけでいいです。例えばどこかのハンバーガー屋さんの話をするときに、有機野菜を使ってるとか、生産地にこだわってるとか、ぶっちゃけどうでもいいことを語るよりも、「ボリュームがものすごくて、食べるのが大変なんだよ!」という話の方が相手のテンションも上がって、「え~、どのくらい大変なのか行ってみたい!」っていうふうに会話が広がったりします。

さらに、自分の言葉を引き出すには、比較をすることも大事です。最初は「すごくない?」で焦点を当てて、自分がすごいと思った感情がどのくらいのレベルなのかを、「すごくすごい」「すごくすごくすごい」という寂しいバリエーションではなく、「これと同じくらい衝撃を受けた」「今までで一番おもしろい」といったふうに、客観的に何かと比較してみてください。

自分の気持ちを自分で捉えてみる

相手に伝えるときもそうなんですけど、まずは自分の中で感情を捉えることが今の日本人には必要だと感じています。僕が小学生に作文の授業をするときも、全然言葉が出てこない子がいます。そういう子にはまず、物事の好き嫌いを明確に宣言してもらうんですけど、それもできないんですよね。「学校、好き? 嫌い?」「わからない……」「給食、好き? 嫌い?」「わからない……いろんなケースがあるから……」みたいな感じで(笑)。本当に単純なことでも好き嫌いが言えない。考えたことがないというか、求められたことがないので、何と言っていいのか分からないんだと思うんです。そうなると、自分がそれを好きなのか嫌いなのかも考えずに過ごしてしまって、何を見聞きしても感動しないし、「何がいい?」って言われても「何でもいい」みたいになっちゃう。

大人でも一緒で、遠慮して自分の意見を言わなくなってしまっているので、まずはそれをどう思っているのか、どれくらいのレベルで思ってるのか、というのを自分自身で捉える必要があります。それができるようになれば、他人に対しても発信できるようになるし、他人に発信できたらまた自分の中で明確に「確かに自分ではこう思ってるんだ」と改めて認識できるので、その往復なんです。