庶民派の老舗居酒屋で焼き魚を

海の幸が豊富な北海道では「回転寿司も寿司専門店並みにうまい」と旅行客に評判だが、魚のうまさは寿司だけに限った話ではない。良心価格の居酒屋でも、質・鮮度・量の3拍子そろった魚介が味わえるのだ。そこで3件目は、あえて海鮮メインではない居酒屋を紹介したい。1985年に開店した「居酒商 古典家」だ。

京都の町家をイメージしてリフォームした外観

「古典家」では、「自家製コーヒー焼酎」(110円~)や「カレーのルーのみ」(420円)、「香り揚げザンギ」(590円)などが名物。魚介系は刺し身や焼き魚、タコやエビの揚げ物、イカの一夜干しといった内容で、メニュー全体の中では少数派だ。

だが、この「縞ほっけ」(980円)の大きさを見てほしい。腹ぺこで出掛けても1尾で満腹になりそうな大きさでありながら、980円という安さ! 表面はパリッと香ばしく、中はホクホクに焼き上げられ、程よく脂が乗っている。そのままでも、大根おろしと醤油をチョイ足ししてもいける一品だ。

(左端から時計回りに)「自家製コーヒー焼酎」(1目盛り110円、ボトル2,200円)、マッシュポテトにチーズと塩辛をトッピングした「ちお辛ポテト」(590円)、「縞ほっけ」(980円)、

札幌の居酒屋の底力を感じる魚介

焼き魚や刺し身の種類は時期によって異なる。筆者が訪れた日の焼き魚のラインアップは、「縞ほっけ」「銀むつ」「塩さば」「銀だら西京」「身欠にしん」(各450~980円)。刺し身(2点980円~5点1,880円)は「まぐろ中落ち」「ひらめ」「たこ足」「ほたて」「〆鯖」がそろっていた。

札幌まで来なくても口にできる魚が多いように思えるかもしれないが、食べてみれば違いが分かるはず。北海道では本当に、普通の店の魚もうまいのだ。

10席程度の小さな店からスタートし、拡張を重ねて120席以上に

牛乳も合う自家製コーヒー焼酎

飲み物は、この店でしか飲めない「自家製コーヒー焼酎」がイチオシだ。札幌市内の焙煎工房から仕入れる浅いりのコーヒー豆を甲類焼酎に10日から2週間ほど漬け込んであり、ロックや水割りのほか、牛乳割り(210円別途)でコーヒーの豊かな香りを楽しめる。

北海道の地酒を選ぶのであれば、フルーティな香りの「北斗随想 純米吟醸」(700円)か、やや辛口の「福司」純米(650円)を。地元で長年愛される店の食ともてなしを、じっくり味わってほしい。

●information
居酒商 古典家
住所:北海道札幌市中央区南五条西2丁目 豊会館
営業時間:月~土曜11:00~14:00・17:30~翌3:00(L.O.2:00)、日曜・祝日17:00~翌1:00(L.O.24:00)
定休日:年末年始ほか不定

北日本随一の繁華街・すすきのは、低価格で極上の魚介を味わえるグルメの街でもある。旅行中は物おじせず、ぜひ夜のすすきのにも繰り出してみたい。

※記事中の情報・価格は2016年5月取材時のもの。価格は全て税込