最後まで全力のスマイルを届ける

ライブもいよいよラストスパート。「1階!」、「2階っ!」、「ダイバーシティ―!!」のコール&レスポンスで客席を煽りまくり、2ndシングル「ENERGY☆SMILE」へと突入。随所に観客との掛け合いがあり、アップテンポでノリやすい同曲。会場全体を笑顔にしてしまうほどのスマイルで歌う大橋からは、心より音楽を楽しんでいるのが伝わってくる。

なお、「ENERGY☆SMILE」の冒頭では大橋直筆のコメントが書かれた銀テープがバズーカで飛ばされた。コメントには、「今日は来てくれてありがとう」というまともなものや、「あいうえおかきくけこ」と五十音をひたすら羅列した謎のメッセージなどが書かれており、実に彼女らしいと思えるファンサービスであった。

そして、ラストを飾ったのはライブを意識して作成した「流星タンバリン」。タイトル通り、タンバリンの音が随所に入っているのが特徴の本楽曲。ライブでは大橋とダンサー2人が星形のタンバリンを手にし、ステージに流れ星を飛ばしていた。楽曲の間奏では、大橋の一言でウェーブが行われた。一発勝負のウェーブが成功したとき大橋は、「めっちゃきれい」、「ありがとう!」と少し興奮気味、笑顔いっぱいに喜びを露わにしていた。

予定外の16曲目、ここからアーティスト・大橋彩香が起動する

熱気冷めやらぬなか、ライブ本編は一旦終了。まだまだ大橋の歌を聞いていたいという観客からはアンコールの声が4分以上も続けられた。そして、スクリーンに映し出されていたライブロゴが星空へと変わると同時に、自身専用だというピンク色のライブTシャツを着た大橋が舞台に登場。バラード調の4thシングル「ヒトツニナリタイ」をしっとりと聴かせた。歌い終えると、深々と、少し長めに礼をする大橋。これは彼女なりの、観客へ向けた精一杯の感謝だったのでは、と感じるワンシーンだった。

深い礼の後に行ったMCでは、ワンマンライブに至るまでの想いを吐露。人前で歌うのが苦手だった彼女がみんなを楽しませたい、笑顔にしたいと思うようになった心境の変化、また、その変化を手助けしてくれたファン・スタッフへの感謝を彼女なりの言葉で表現した。そして、「最後はこの曲でお別れしたいと思います!」という言葉の後に歌ったのは、デビュー曲の「YES!!」。まだ成人前だった当時から風化しない、エネルギッシュかつ笑顔の「大橋彩香」がステージを駆け回り、会場を笑顔に包み込んだ。

「YES!!」の後は、バンドメンバー・ダンサーの紹介後、メンバー全員で手をつないで「ありがとうございました!」とマイクを通さずに挨拶。大歓声のなか、ステージの幕が閉じるかと思われたとき、大橋が突然「あぁい! あのぅ、まってください!」と、ステージから降りようとするバンドメンバーたちを呼び止めた。そして、バンドメンバーたちに大橋が発した言葉は「もう1曲、歌いたい」の一言。事前に配られていたスタッフ用のセットリストを見返しても、15曲で終わる予定になっていたまさにサプライズ。バンドメンバーが快諾したことで、再度「ABSOLUTE YELL」を歌えることとなった大橋は、喜びを隠せないようだった。

2度目の「ABSOLUTE YELL」を終えた大橋は、少し鼻をすすり、目をこすっているように見えた。しかし、涙でしゃべることができなくなるのを堪えて、「絶対また会おうね、約束です!」と言葉を残した彼女は強く、熱く、そして歌うことが大好きなアーティストなのだと心から感じた。

アーティストデビューから2年。シングルを4枚、アルバム1枚を発売し、ワンマンライブも終えた彼女は、目に見えてわかるほどの成長をしている。ただ、アルバムで内に秘めたる部分も表現した彼女にとっては、このワンマンライブの成功が本当の「Start Up!」なのかもしれない。「まだまだ様々な一面が見られる」。その期待が持てるほどに熱く盛り上がったライブであった。

なお、ライブでは、恒例のイベント「はっしーバースデー」が2016年9月22日にEXシアター六本木で開催されること、2017年2月~3月にかけて名古屋・福岡・大阪・北海道を回るツアーが行われることが発表された。次のイベント・ライブでは果たして、どんな成長した彼女が見られるのだろうか。

大橋彩香1stワンマンライブ「Start Up!」セットリスト

M-1 ABSOLUTE YELL
M-2 裸足のままでもこわくない
M-3 Doing Now!
M-4 おしえてブルースカイ
M-5 にゃんダフルらぶ
M-6 ジャスミン(アコースティックver.)
M-7 明日の風よ(アコースティックver.)
M-8 Super Dreaming Days
M-9 RED SEED
M-10 No Surrender
M-11 勇気のツバサ
M-12 ENERGY☆SMILE
M-13 流星タンバリン
【ENCORE】
M-14 ヒトツニナリタイ
M-15 YES!!
【W-ENCORE】
M-16 ABSOLUTE YELL

photo=佐藤薫