三菱自動車は同社製車両の燃費試験における不正行為に関して、国土交通省からの調査指示を受け、18日に報告書を追加提出したと発表した。あわせて同社代表取締役社長兼COO、相川哲郎氏らの異動(辞任)についても発表している。

三菱「eKスペース」

報告によれば、軽自動車4車種(三菱「eKワゴン」「eKスペース」、日産「デイズ」「デイズ ルークス」)の不正について、恣意的な操作によって算出された走行抵抗を会議で決定したという。一部の部署ではなく組織的な不正であったことを認める内容といえる。こうした不正が行われた背景として、三菱「eKワゴン」・日産「デイズ」の燃費目標が、競合他車の燃費などを考慮して5回にわたって引き上げられたことを挙げている。

本来は商品開発プロジェクトの業務である燃費目標のとりまとめを、性能実験部が恒常的に行っていることも明らかにされた。性能実験部および性能実験部管理職は、燃費目標達成の難しさを認識していながら、それを子会社である三菱自動車エンジニアリングに丸投げし、その報告を検証することなく最終設計品質確認会議などで報告。業務責任を果たしていなかった。

軽自動車4車種以外の同社の販売車種も、「ミラージュ」「アウトランダー PHEV」「デリカ D:5」のディーゼル車以外の車種に関して「惰行法」とは異なる三菱独自の「高速惰行法」で走行抵抗が実測されていた。「RVR」は走行抵抗を実測せずに机上計算を行い、「パジェロ」のガソリン車では、過去の測定データの中から都合の良い値を恣意的に組み合わせて使用。「アウトランダー PHEV」「デリカD:5」「RVR」「パジェロ」について、重量補正やCVTの改良補正などさまざまな値が机上計算されていたという。

こうした内容の報告書が追加提出されたのと同じ日に、三菱自動車代表取締役社長兼COOの相川哲郎氏、代表取締役副社長の中尾龍吾氏の異動(辞任)も発表。異動(辞任)日は定時株主総会のある6月24日とされ、後継の代表取締役については「今後の取締役会で決定し、速やかに開示いたします」とのこと。