―― 一緒にメーンキャスターを務める予定だったショーンKさんが、経歴詐称疑惑を受けて番組スタート前に辞退されてしまいましたが、これによって市川さんに不安や心構えの変化はありましたか?

実は、辞退されるのが決まったのは、顔合わせの前だったんです。まだイメージトレーニングの段階でした。それに、私が実際に打ち合わせをしていた周りのスタッフの皆さんは一緒で変わらないですし、そのままみんなを頼って支え合っていけば、なんとかなるんじゃないかという感じでした(笑)

――楽観的に受け止めてらっしゃったんですね。そして、実際に番組がスタートしましたが、苦労されている点などはありますか?

ホウドウキョクのときは、番組自体も2時間半ですし、インターネットの媒体ということもあって、わりとゆっくりとマイペースにできる感じだったんです。コメントも長くしゃべったりとか、結構深掘りしていく感じだったんですけど、『ユアタイム』はサクサク進んでいくので、1つ1つの時間尺にまだ戸惑ってますね。

――時間に追われるという感じですか?

追われるというより、短い時間の中で、どうやって自分の意見や、コメンテーターの方の意見を、いろんな視点で出していくのかというのが、なかなかの課題だなと思ってます。

――「SAYAのニュースなSASAYAKI」のコーナーでは、市川さんがニュースに対するコメントを述べられていますが、事前に相当考えてから本番で話しているのですか?

そうですね。私、言葉を重ねて個性を出していくようなタイプなので、短くすると普遍的なことしか言えないんです。文字数の多い人間なので、サクッと聞きやすくするにはどうしたらいいんだろうと考えてコメントしてます。

――1回文章に起こしたりしてるんですか?

文章にまで起こしてしまうと、たぶん、セリフっぽくなっちゃって視聴者に届かないと思うので、メモったり、箇条書きにしておくなど、視聴者の皆さんに一番親切なやり方を考えています。

――4月12日の放送では、本屋大賞を受賞された宮下奈都さんをゲストに迎えていましたが、エンディングで「私たち、しゃべり過ぎです」と反省されていましたね。

そうなんです(笑)。もっと宮下さんの話を聞きたかったんですが…。

――そこも、自分の言葉を短い時間でまとめなければいけないという課題ですか?

その日の反省は、チームとしてですね。

――コメンテーターのモーリーさんも含めてですね(笑)

はい(笑)。でもそこも私の責任です。本の話はいっぱい聞けたんですけど、もうちょっと宮下さんの人となりの話などを、本当は聞き出したかった。でもちょっと時間が…。お話を聞いていて楽しくなっちゃって、みんなも盛り上がり、宮下さんも楽しいと言ってくださったんですけど、しゃべり過ぎちゃいました(笑)

――トークが盛り上がっても、生放送の中で頭を切り替えて言葉を選んでいくという作業が難しいんですね。

そうですね。やっぱり地上波サイズのコメントとか、会話ってまだまだ課題だなと思ってます。

――先日の放送で、女子アナを目指す学生さんに密着したVTRを受けて、「私はカミカミです」とおっしゃっていましたが、鉄道のことですとか、ご自身の趣味に関係することをしゃべっているときは、すごく流ちょうでカミカミではない気がします。

ああ、たぶん、決まりの言葉を読むのがあんまり得意じゃないんだと思います…。でも私、普通の会話も噛んでしまうタイプなので、そこも課題ですね…(笑)

――この4月改編で夜のニュースキャスターがほとんどの局で交代しましたが、裏番組は気になりますか?

今回キャスターに本職ではない私を起用した狙いや強みとして思っているのが、やはりそういった既存のニュース番組に左右されないということだと思うんです。それを生かしていく必要があると思うので、録画してチェックなどはしてないですね。

――ニュースキャスターを務めるにあたって、参考にしている方などはいらっしゃるのですか?

ラジオのパーソナリティが多いですね。話す内容というよりも言葉遣いの部分で。意見をズバズバ言いながらも、品よくきれいに伝える日本語というのを、何人か参考にさせてもらってますね。

――隣に座っている野島アナウンサーから、アドバイスを受けることなどはあるのですか?

野島さんは本当にアナウンスのザ・プロなので、見て学んでますね。生放送の尺の感覚とか、平静にしている部分とか、すごいなぁと思ってます。

――モーリーさんからはいかがですか?

モーリーさんからのアドバイスですか!?(笑)。そうですね、いつも「われわれらしく行こう」と言われますね。モーリーさんは「他にないことをやりたい」という気持ちが強いので、自分たちらしいものにしたいという気持ちが伝わってきます。