このほど死亡保険金受取人の同性パートナーへの範囲拡大や、業界初の医療保険のオンライン給付金手続き、KDDIとの協業で提供開始した「auの生命ほけん」など、様々な事業に取り組んできたライフネット生命保険。同社が4月13日、これらの取り組みや今後の方針について発表会を行った。
死亡保険金受取人を同性パートナーにも
同社では、昨年11月より死亡保険金受取人の指定範囲を拡大し「同性のパートナー」への適用 を開始した。
従来は死亡保険金受取人の指定範囲を「戸籍上の配偶者または2親等内の血族」と設定。条件により異性の事実婚関係にあるパートナーは指定可能だった。
顧客から同性パートナーの場合の適用に関しても要望が寄せられていたことなどから、今回の適用に至ったという。申し込みと査定の後、同居の事実を確認できる住民票に加え、同社所定の「パートナー関係に関する確認書」の提出が必要となる。
業界初、医療保険の給与金請求手続きオンライン完結サービス
また業界初の試みとして、3月1日から医療保険の給与金請求手続きをオンラインで完結できるサービス を開始している。同社では、医療保険を請求する際、医師の診断書提出を原則不要としている。今回のサービスではさらに、請求連絡・書類の提出も、原則スマホやPCで完結することが可能となった。
コールセンターへの電話、請求書類の作成・発送、診断書の作成依頼・取得、必要書類の郵送などで平均43日かかっていた請求手続きが大幅に短縮でき、最短で退院した2日後に給付金が支払われた例もあるそうだ。
KDDIと連携した「auの生命ほけん」導入の理由は?
同社とKDDIが連携し、4月5日から auユーザーに対して販売を開始したのが「auの生命ほけん 」。通信契約・保険契約とも、毎月支払いがあるストックビジネスであること、顧客と長期的な関係を構築する必要があること、生活に不可欠なインフラの側面を持っていること、これらの3点において通信業と生命保険で共通するとして業務提携を決めたという。
「au定期ほけん」「au医療ほけん」「au医療ほけんレディース」の3商品をスマートフォンやPCから簡単に申し込むことができる。審査時の必要書類もスマホ等で撮影してウェブサイトから提出可能。さらに、申し込み検討アプリ「auの生命ほけん」も提供している。現在Android版のみ、iOS版は近日提供予定。
デジタルネイティブ世代とどのように向き合う?
同社ではスマホからの保険申し込み割合が高くなっており、とくに20代~30代では35%前後を占める。これを受け、4月よりはスマホサイトを一新した。
スマホからの利用が増えたことについて、同社代表取締役社長兼COO 岩瀬大輔氏は「スマートフォンを肌身離さず持ち歩く人が増えたことで、弊社と顧客の距離が質的に変化しつつある。これを少しずつ膨らませていくことによって、顧客との距離を築けるのではないかと思います。特に、これから30代になっていく世代、デジタルネイティブな層のうち、共働きや子育てなどで忙しい方々からすると、対面で会わなくていいことをメリットに感じる人もいると思うんです。生命保険のマーケットで、5%~10%くらいの人がこういった選択をしてもおかしくはない。どうやって知っていただくか、届けていくかが課題だと考えています」と述べた。
今後の方針は?
さらに今後は3つのチャネルに注力していくという。1つ目はネット生保。経費を抑えていても振り向いてもらえるような、インパクトのあるマーケティングを行うことを目指しているとのこと。また、オンラインでの給与金請求手続きサービスのように、ネット生保ならではのスマホを使ったサービスの優位性を訴えていくという。
2つ目は、2015年より「ほけんの窓口」を主要パートナーとして対面販売を開始した「就業不能保険」(病気やケガによって、長期間働けない場合に、毎月給料のように給付金が受け取れる保険)。先進国の中でも日本では普及率が低いため、認知拡大を図っていくとしている。
3点目はKDDIとのパートナーシップ。岩瀬氏は「『auの生命ほけん』を通じて、幅広い顧客へのリーチを図り、ブランドへの信頼感を持ってもらえるような保険の届け方をしていきたい」と目標を語った。