「ニコニコ超会議2016」の開催に合わせ、4月28・29日に583系車両を使用した「ニコニコ超会議号 2016」(以下「超会議号」)が運行されることになった。大阪駅を4月28日20時すぎに発車し、目的地は海浜幕張駅。4月29日10時すぎに到着予定となっている。
その運行ルートに関して、3月12日時点で発地・着地以外に明らかにされた情報は京都駅を経由することのみ。海浜幕張駅までどの路線を経由するかは不明である。
1編成しかない583系、どうやって大阪へ持っていくか?
今年の「超会議号」に使用される583系は第2世代の寝台電車だ。1967(昭和42)年、九州方面向けとして製造された581系は直流1,500Vと交流20,000V・60Hzに対応していた。対して翌1968(昭和43)年に製造された583系は、「よんさんとう」(昭和43年10月ダイヤ改正)で実現した東北本線の全線電化完成に合わせて登場したもので、交流20,000V・50Hzにも対応する、いわゆる「3電気式」である。だから理屈の上では、在来線の電化区間ならどこでも走れる(一部の例外については後述)。
現在、JRグループで残存する581系・583系の一族は、JR東日本秋田車両センターに所属する6両編成1本だけだ。定期運用は持たず、波動用として団体臨時列車などに使われる。
583系は昼行・夜行を兼用できるので、夜行運転となる「超会議号」に向いている。寝台電車なら「サンライズ瀬戸・出雲」の285系もあるが、こちらは京葉線に入線したことがないし、大型連休中は「サンライズ出雲」の増発列車にも駆り出される。その点、583系ならJR東日本の内輪で用意できるし、団体臨時列車で関西まで足を伸ばした実績も、京葉線を走った実績もある。
ところで、「超会議号」で使用する583系は秋田車両センターの所属だけに、まずどうやって大阪まで持っていくかが問題になる。秋田から回送されると想定した場合、考えられる経路は以下の3種類になる。
日本海縦貫ルート(1)
秋田~(羽越本線)~新津~(信越本線)~直江津~(えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン)~市振~(あいの風とやま鉄道)~倶利伽羅~(IRいしかわ鉄道)~金沢~(北陸本線)~近江塩津~(湖西線)~山科~(東海道本線)~大阪
日本海縦貫ルート(2)
秋田~(羽越本線)~新津~(信越本線)~直江津~(えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン)~市振~(あいの風とやま鉄道)~倶利伽羅~(IRいしかわ鉄道)~金沢~(北陸本線)~米原~(東海道本線)~大阪
首都圏・東海道ルート
秋田~(羽越本線)~新津~(信越本線)~宮内~(上越線)~高崎~(高崎線)~大宮~(大宮支線)~別所(信)~(大宮支線)~西浦和~(武蔵野線)~鶴見~(東海道本線)~大阪
ただし、大阪へ回送された後、ただちに「超会議号」の運用に就くとは限らない。まず近隣の車両基地に入庫させ、検査や車内整備を行うと思われる。向日町駅(東海道本線)付近にある吹田総合車両所京都支所なら、以前にJR西日本所属の581系・583系が配置されていた実績がある。ここから出庫して大阪駅に向かう場合、北方貨物線を使っていったん大阪駅の北方を迂回し、塚本駅から東海道本線の上り線に入るのが通例のルートだ。
次に、「超会議号」の大阪駅から首都圏までの経路について検討してみよう。前述した通り、583系は「在来線の電化区間ならどこでも走れる」から、理屈の上では以下の経路が考えられる。ちなみに、過去にブルートレインによる「超会議号」を運行した際は、北陸本線・信越本線・上越線経由のルートを使った。
日本海ルート(1)
大阪~(東海道本線)~山科~(湖西線)~近江塩津~(北陸本線)~金沢~(IRいしかわ鉄道)~倶利伽羅~(あいの風とやま鉄道)~市振~(えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン)~直江津~(信越本線)~宮内~(上越線)~高崎~(高崎線)~大宮~
日本海ルート(2)
大阪~(東海道本線)~米原~(北陸本線)~金沢~(IRいしかわ鉄道)~倶利伽羅~(あいの風とやま鉄道)~市振~(えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン)~直江津~(信越本線)~宮内~(上越線)~高崎~(高崎線)~大宮~
東海道・中央ルート
大阪~(東海道本線)~名古屋~(中央本線)~塩尻~(中央本線)~八王子~
東海道ルート
大阪~(東海道本線)~
その他にも、直江津駅から先の経路を変更し、「直江津~(えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン)~妙高高原~(しなの鉄道北しなの線)~長野~(信越本線)~篠ノ井(篠ノ井線)~塩尻~(中央本線)~八王子~」あるいは「直江津~(信越本線)~犀潟~(北越急行ほくほく線)~六日町~(上越線)~」というルートでも、いちおう線路はつながっているし、電化区間だから理屈の上では走れる。
ただし、ここまで挙げてきた選択肢のうち、中央本線を経由するルートは対象から外してよい。というのも、トンネル断面が通常より小さい中央東線の小仏トンネルで、583系はサイズ制限にひっかかるからだ。ここを通過できるのは、もともと屋根高が低い特急型車両と、パンタグラフ部のみ屋根高を低くしたり、折畳高が低い特製のパンタグラフを使ったりしている「小仏トンネル仕様」の車両だけである。