日本の「おもてなし」の心は外国人にも伝わっている?

心のこもったサービス「おもてなし」は、2013年に滝川クリステルさんが行った東京五輪誘致のスピーチで、世界の人に知られるようになった言葉。実際、どんなところで外国人たちは日本の「おもてなし」を実感するのだろうか。日本在住の外国人20人に母国との違いも含めて聞いてみた。

店員が親切・丁寧

・「ホスピタリティーは場所によって違うが、日本のサービスは確かにすごい。欧米では従業員が結構気分次第で働く」(フランス/35歳/男性)

・「お店での接客態度。基本的にほとんどのお店で親切にしてくれる」(韓国/34歳/男性)

・「レストラン、銀行、ホテル、コンビニ、どんな場所でも店員の案内サービスや声掛けは素晴らしい」(チェコ/58歳/男性)

・「丁寧に人を扱う。母国と同じ」(ウクライナ/25歳/男性)

・「買い物をする時、ホテルのチェックイン・チェックアウト時」(インドネシア/36歳/男性)

・「日本では『お客さまは神様』と言葉にしなくても強く感じる。母国ではお客に対するマナーがあまり良くないと思う」(シリア/35歳/男性)

・「外食する時にサービスの違いを感じる。日本の方がサービスがいい」(フィリピン/35歳/女性)

・「レストランで注文する時、ホールの人がわざわざしゃがんで注文をとること。香港ではそういった礼儀正しいサービスはない」(香港/34歳/女性)

・「人が丁寧に話している時。例えば入国管理局や警察まで、母国と比べてみんな丁寧。そして、大学院の時は学生のためにたくさんのプログラムがあったので、そこでも『おもてなし』を感じた。ロシアの大学はあまり学生のために頑張っていない」(ロシア/31歳/女性)

・「駅の職員さんやショッピングモール、スーパーマーケットのレジやレストランの店員さんにあいさつされる時。ブルガリアではこのようなことはない」(ブルガリア/33歳/女性)

ご自宅訪問で

・「友だちの家に行く時、すごく優しくてお土産や料理のおすそわけをしてくれた。イギリスではお土産文化がそんなにない」(イギリス/31歳/女性)

・「お店や宿ではなく、日本人の家を訪ねる時。母国でも同じ」(エジプト/27歳/男性)

・「日本人の家を訪ねる時。イランでも同じ文化がある。イラン人もおもてなしの精神を持ち、お客に対してできることは全てする」(イラン/28歳/女性)

そのほか

・「日本に入った瞬間から感じられる。中国に帰る時、入国審査のところからもう気分が暗くなった」(中国/28歳/男性)

・「料理の見た目の美しさがもっとも目を喜ばす『おもてなし』だと思う。モンゴルの料理はおいしいが、和食ほど見た目を重視していない」(モンゴル/39歳/女性)

・「母国の方が感じる」(ポーランド/30歳/女性)

・「財布を忘れた時、警察がお金を貸してくれた。マレーシアではこんなことは絶対ありえない」(マレーシア/31歳/女性)

総評

言葉使いだけではなく、案内サービスや目線の高さに対する配慮など、お客に対する店員の一つひとつの動作・言動に対して、好感の持てる「おもてなし」を実感しているよう。その一方で、筆者の知人の外国人から「『いらっしゃいませ』と言われて何も返さなくていいの? 」と、日本ならではの「おもてなし」に対してどう反応したらいいのか迷うこともあると聞いたことがある。また同様に、「なぜ多くの日本人は街頭でティッシュ等を配る人を無視するの? 」と思うこともあるようだ。

「おもてなし」の心はお店の他、一般家庭でも実感することがあるようだが、その点は日本以外の国でも同様だろう。また、和食の見た目の美しさに対して、目を喜ばせてくれる「おもてなし」と感じている人もいるようだ。そのほか、「クルマよりも歩行者が優先」「ルールを守る」といったことを「おもてなし」として挙げる人もいたが、受け手が心地いいと思える行動・言動を「おもてなし」と認識している外国人もいるのかもしれない。

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