ワンルームの賃貸部屋で石油ストーブを使っても大丈夫?

冬本番になりました。室内にいても「ちょっと肌寒い」と思うことはありますよね。室内を暖めるために「石油ストーブがあればなあ」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。でも、石油ストーブって使ってもよいのでしょうか。


Q 部屋が寒いよ~。石油ストーブを使いたいんだけど……

A 今年は暖冬とはいえ、急な寒波が来ると身体が慣れていない分、寒さがこたえますね。室内にエアコンがあっても、「石油ストーブがあると暖かいなあ」と思う人は少なくないでしょう。ここで、利用したいと思ったら、まず契約書や規約を確認してみましょう。賃貸アパートやマンションでは、「石油ストーブや石油ファンヒーターは使用禁止」と明記されていることがほとんどではないでしょうか。その理由には、次のようなものがあります。

一つ目の理由として、火災の危険性が少なくないことが挙げられます。いくら気を付けていても、石油ストーブは、灯油をタンクに入れる際などに引火する可能性があります。火災が起きてしまうとすべてが燃えてしまう可能性は高いのです。建物が燃えて、命を落とす人が出るかもしれないのです。

ここで、火災で近隣が燃えた場合、火元の人に損害賠償責任を求めない「失火責任法」というのがあります。けれども「失火者に重大な過失」がある場合は、これは適用されません。規約で禁止されている石油ストーブを使い火事になったことが、必ずしも重過失と判断されるわけではありませんが、状況次第で責任を求められる可能性は十分、あります。こうなると、非常に高額な賠償責任を負わなければならないことがあります。

二つ目の理由として、一酸化炭素中毒を引き起こす可能性が挙げられるでしょう。特にワンルームでは部屋が狭く、よほどこまめに換気をしない限り、一酸化炭素が充満しやすい環境です。暖かくて、ついうとうとしてしまい、一酸化炭素中毒に……というのは冗談で済まない話です。

ここで、規約に何も書かれていない場合はどうすればよいでしょうか。この場合、できれば、管理をしている不動産会社や大家さんに事前に尋ねてみましょう。OKという返事をもらうのは簡単ではないかもしれませんが、とても寒くて石油ストーブがなければつらいことを丁寧に説明して理解を得るのも方法です。隠れて使用して、大ごとになるのが一番コワイことです。

エアコンだけでは、なかなか部屋が暖かくなりにくいものですが、こたつやセラミックファンヒーター、ホットカーペットなど電気を使うもので工夫をしてみましょう。足元や下半身を温めるのがポイントです。部屋のドアを閉めるクセをつけたり、大型の家具などで仕切って狭い空間づくりをすることで、暖かい空気が逃げなくなりますよ。

高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『最高のマンションを手に入れる方法』(共著、エクスナレッジ)など。『夕刊フジ』にて「住まいの処方銭」連載中。

 

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