「不妊」で悩んでいるカップルは、一度男女そろって検査を受けてみましょう

現代男性の精子は、環境ホルモンやストレスなどさまざまな要因から、減少傾向にあると言われています。もし自分の精子が足りなかったり、作れなかったりする体だとわかったら、きっと多くの男性はショックを受けてしまうのではないでしょうか。

このように、不妊の原因は女性だけにあるのではありません。赤ちゃんを望んでいながら、なかなか子宝に恵まれないカップルは、一度男女そろって検査を受けてみてはいかがでしょうか。ここでは、一般的にはまだまだ知られていない「男性不妊」の現状や原因について、基本的な知識をおさえておきましょう。

不妊の約半数は男性側に原因がある

1998年にWHO(世界保健機構)が発表したデータでは、不妊のカップルのうち、その原因が「女性のみ」にある場合が41%、「男性のみ」にある場合が24%、「男女両方」にある場合が24%とされています。男女どちらにも原因があるケースも含めれば、不妊原因の約半数は男性側にあることになります。ただし、上記のデータは少し古いものなので、現在では、不妊に悩む男性の割合はさらに増えているかもしれません。

原因の約9割は「精子」の問題

男性の不妊の原因には、主に以下のようなものが考えられます。

・造精機能障害
男性不妊の約9割は、精子がうまくつくれない「造精機能障害」だと言われています。造精機能障害には、通常より精子が少ない「乏精子症」、精液の中に精子が見つからない「無精子症」、精子の数は足りているのに動きがよくない「精子無力症」があります。こうした精子の異常の多くは原因不明ですが、精巣やその周辺にお腹から血液が逆流してこぶ状にふくれる「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」のような病気が原因となっている場合もあります。

・精路通過障害
次に多いとされているのが、精子の通り道に異常がある「精路通過障害」です。精路通過障害には、精巣ではちゃんと精子がつくられているのに、精管が詰まっているために精液中に精子が出てこない「閉塞性無精子症」をはじめ、精巣に炎症が起きて精管が詰まる「精巣上体炎」などがあります。

・性機能障害
精子やその通り道には特に問題がなくても、セックスのときに十分に勃起しない「勃起不善(ED)」や、膣内で射精しにくい「膣内射精障害」などがあると、妊娠の可能性は低くなります。こうした性機能障害や性欲の減退は、日常生活で受けるストレスが大きな原因となっているケースが多いようです。また、糖尿病などの病気が、勃起不善(ED)のほか、精液が膀胱(ぼうこう)に逆流してしまう「逆行性射精」を引き起こすこともあります。

無精子症でも妊娠可能な場合も

男性で不妊症が疑われる場合は、泌尿器科で精液検査などの検査を受けるのが一般的でしたが、最近では、カップルで受診できる不妊治療専門の医療機関も増えています。

不妊治療に対応している医療機関では、検査の結果に応じて、薬や手術で治療し、妊娠の可能性を探っていきます。たとえ無精子症と診断されても、わずかでも精巣に精子が存在すれば、顕微授精などの方法で妊娠可能なケースがあります。また、勃起不善(ED)の場合は、バイアグラ処方などの治療が可能です。

男性の生殖能力には個人差が大きく、女性のように、大体何歳までという明確なリミットを示すことは難しいのも事実です。ただ、不妊の原因が分かっているのであれば、不妊治療を早くスタートすればするほど、妊娠の可能性が高まるのは確かでしょう。なかなか子供を授からなくて悩んでいるカップルは、女性任せにせず、2人で知識を身につけて、一緒に検査を受けてみることをおすすめします。

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記事監修: 善方裕美 医師

日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医
1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。

主な著書・監修書籍
『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』
『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』
『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など