財務省は10日、2015年9月の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支は1兆4,684億円の黒字となった。黒字は15カ月連続で、黒字幅は前年同月比で4,904億円拡大した。同省は「貿易収支が黒字に転化したことや、サービス収支の赤字幅が縮小したことなどから、黒字となった」と話している。

貿易収支、原油の輸入減などで黒字転化

貿易・サービス収支は371億円の黒字で、4カ月ぶりに黒字転化した。貿易収支は823億円の黒字。原油の輸入額が減少したことなどにより、3カ月ぶりに黒字転化した。輸出額は前年同月比1,029億円(1.6%)減の6兆3,761億円と、31カ月ぶりの減少。輸出額は同8,965億円(12.5%)減の6兆2,938億円と、9カ月連続の減少となった。

サービス収支は452億円の赤字。赤字は2カ月ぶりで、赤字幅は同1,555億円縮小した。旅行収支が1996年以降、9月として過去最大の黒字となったことなどから、赤字幅は縮小した。

第1次所得収支は1兆6,694億円の黒字で、黒字幅は同3,699億円(18.1%)縮小した。「直接投資収益」が減少したことなどから、黒字幅は縮小した。

第2次所得収支は2,380億円の赤字で、赤字幅は同888億円拡大した。

2015年度上半期、旅行収支は過去最大の黒字

併せて発表した2015年度上半期(4~9月)の国際収支状況(速報)によると、経常収支は8兆6,938億円の黒字となった。半期ベースの黒字は3期連続で、黒字幅は前年同期比で6兆6,930億円拡大した。

2015年度上期中国際収支状況(速報)の概要(出典:財務省Webサイト)

貿易・サービス収支は1兆2,173億円の赤字で、赤字幅は同5兆418億円縮小した。

貿易収支は4,197億円の赤字。原油の輸入額が減少したことなどにより、赤字幅は同4兆369億円縮小した。輸出額は同1兆177億円(2.8%)増の37兆2,189億円と、5期連続の増加。輸入額は同3兆193億円(7.4%)減の37兆6,386億円と、2期連続の減少となった。

サービス収支は7,976億円の赤字。赤字幅は同1兆49億円縮小し、過去最少の赤字となった。旅行収支が過去最大の黒字となったほか、「知的財産権等使用料」が上期として過去最大の黒字となったため、赤字幅は縮小した。

第1次所得収支は10兆8,342億円の黒字で、黒字幅は同1兆6,605億円(18.1%)拡大した。「直接投資収益」および「証券投資収益」が増加したことにより、1985年以降で最大の黒字となった。

第2次所得収支は9,231億円の赤字で、赤字幅は同92億円拡大した。