しかし、「60歳±10歳」のみに向けて番組作りをする訳にはいかない。そこで、次世代のメイン視聴者の確保も見据え、深夜帯に無料BS局最多というアニメ放送枠を持っている。TOKYO MXなど地上波でも独立局は、深夜帯のアニメが活況だが、そうした局がない地方の視聴者は、無料の全国放送であるBS11を重宝しているようだ。放送だけでなく、同局は毎年、アニメの総合イベント「Anime Japan」(2013年までは「東京国際アニメフェア」)に出展。また、作品への製作出資も行うなど、積極的な姿勢を見せる。

とはいえ、深夜のアニメ視聴者は、「60歳±10歳」と、まだまだ世代が離れている。このため二木氏は、将来的な展望として、この間に位置する世代をターゲットにした番組を編成していきたいという。50代をターゲットにしながら、40代、30代も取り込んでいくイメージで、ジャンルは「やわらかい情報系かな」と構想を語る。

二木氏は、BSの市場について「まだ伸びしろがある」と、さらなる成長を予測。しかし、「BSを知っていても、まだ見に来ない人はいるので、その方たちをどのように誘導していくか」と課題を挙げる。

東京・御茶ノ水のBS11(日本BS放送)本社

その中にあって、これまで述べてきたコンテンツの充実化に加え、テレビ局としてのブランドイメージの構築をさらに進めていく方針にある。そのブランドとは、番組の柱である「旅と歴史」というジャンルに加え、同局本社屋が、学生街で書店街も近い東京・御茶ノ水に立地することにも起因する、"文化のまちのテレビ局"だ。社屋正門のアーチは、歌人・与謝野晶子も創設に関わった専門学校「文化学院」が戦前に建てたもので、まさに文化の風格が漂う。

そのブランド発信を強化するため、今後は、社屋内でのイベントや公開収録を行っていく計画。レギュラー番組の演芸寄席や、本を扱った番組のイベントなどが想定されており、"文化のまちのテレビ局"のイメージをさらに後押ししていくものになりそうだ。