K-POPアイドルファンを統べる「マスターさん」って?

塚岡:国内アイドルとK-POPアイドル、応援する上での違いはわかりました。ほか、何か独特な風習とかってありますか?

Nさん:そうですね……。日本ではあんまり聞かないのは「マスター」っていう言葉ですかね。

塚岡:マスター?

Nさん:ファンの中でも、アイドルに近いところにいて積極的に支えたり、ファンをまとめたりしている人ですね。中国の富裕層みたいな、ガチのお金持ちがやってます。ファンからの差し入れをとりまとめてアイドルに渡したり、ファンサイトを作って交流の場を提供してくれたりします。

塚岡:たしかに、日本のアイドルシーンではあまり聞かない風習ですね。

Nさん:信頼してたマスターさんが他のアイドルグループに移っていくと、残念だったりします。アイドルのファンであり、マスターさんのファンでもあるという感じです。マスターさんは事務所やメンバーの親とも親しかったりするので、一般のファンとは別次元の存在ですよ。それだけに、すぐ近くで支えられる現地の方しかマスターさんにはなれません。日本人が真似事をすると、日本人のファンからバッシングされることもあります(笑)。

キャリアとオタ活、どっちをとる?

仕事あってこそのオタ活。キャリアとの葛藤を真剣に語る

塚岡: 計画的に仕事をすすめることで時間を作って、貯金をしながら海外遠征もして、まさに仕事のモチベーションって感じですよね。

Nさん:そうですね。仕事をしてないと金銭的にオタ活ができないし、オタ活ができないと仕事のモチベーションも保てないし。

塚岡:でも、仕事を続けてキャリアを積み上げる中で、今のように時間を使えなくなっていく可能性もあると思うんです。その壁にぶつかった時、K-POPアイドルと仕事、どっちをとりますか?

Nさん:私は仕事をとるでしょうね。

塚岡:お、迷いがない。

Nさん:仕事をしているからこそ、胸を張ってライブ会場に行けるんですよ。「アイドルもあんなに頑張ってる、私も頑張らなきゃ!」っていう気持ちになれます。仕事をしていない私では、胸を張って会場に行けません。

塚岡:なるほど。でも、ウェブ編集ではなくてもっと時間が自由になる仕事もあったんじゃないですか?

Nさん:私、わがままなんですよね(笑)。昔からマンガが好きで「出版社に入りたい」って気持ちが強かったんです。で、高校、大学と勉強しているうちにウェブ編集っていう仕事を知って、今は仕事がすごく好き。仕事もプライベートもオタ活も、きちんとやらないと満足できないんじゃないかな。

塚岡:胸を張ってアイドルの応援をするために、ちゃんと仕事のできる自分でありたい、と。

Nさん:そうですね。よかった(笑)。K-POPアイドルのことばっかり話しちゃってて(注:記事にした内容の5倍は語ってもらいました)少し不安でした。ありがとうございます。

塚岡:こちらこそ、ありがとうございました!

インタビューを終えて

1時間半のインタビューは、記事には書けないような面白い話もたくさん聞けた楽しい時間でした。

「胸を張ってアイドルの前に出るために、仕事を頑張る」というNさんの姿勢は、まさに仕事とオタ活の両立。それどころか、高め合っているという印象です。
「働くオタ、かくあるべし」という彼女の姿に学ぶところがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。