1980年代初頭に東京で誕生したインテリアブランド IDEE(イデー)。その本店である自由が丘店が、9月18日にリニューアルオープンした。

3フロアからなる店舗で提案しているのは"アートに囲まれた暮らし"。とことん触れて、試して、妄想してみる。その人らしい暮らしの楽しみを見つける場所を目指し、ショップの構成や取り扱いアイテムを再編集したという。

IDEE(イデー)の自由が丘本店がリニューアルオープン

インテリアの新たな取り組みを提案

1階のコンセプトは「Daily Goods & BOTANIQUE」。インテリアグッズやテーブルウェア、ファッションアイテム、観葉植物などがフロアを飾る。

自然な風合いや色味にこだわった服、食器など、暮らしをトータルに彩るアイテムが並んでいる

入り口のほど近くには、月替わりでイデーや若手作家がプロデュースしたアイテムをフィーチャーする「IDEE CRAFTS」のコーナーを新設。ここでは時代や場所、国に関係なく、"即興的な組み合わせにより響き合うもの"を、イデーのものさしで編集し紹介する。

オープニング第一弾となったのは「IDEEと小林和人が選ぶクラフト」展。キュレーターの小林さんは、吉祥寺で国内外の生活用品を扱う「roundabout」と「OUTBOUND」の店主を務める人物だ。同展では、"機能"をもった「日用品」から一見役にたたないようでも作用をもたらす「オブジェ」まで、幅のあるセレクトを紹介。バラエティ豊かなのだが、どこか不思議なまとまりを感じられる展示となっている。小林さんは同展について、次のように語ってくれた。

「IDEEと小林和人が選ぶクラフト」展のアイテム

「基本的にもの選びは、直感で行います。ものには、"機能"と"作用"があると考えます。例えば、このオブジェ(馬のひづめのような形をした鉄製のもの)。これはぱっと見ただけでは、何かに使うといった"機能"は考えつかないかもしれない。けれど、持ってみるとすっぽりと手に収まり、ザラついたような部分を楽しめるなど、気持ちの面で作用をもたらします。またこのオブジェの中には石ころが入っていて、振るとカラカラと音がするんです」(小林さん)

鉄で出来た不思議なオブジェ

「あるミュージシャンはこれをライブで楽器代わりに使うんです。彼にとって、このオブジェは"機能"をもっていることになる。ものには、それを使う人によって"機能"と"作用"がもたらされる。余白があり、行間がある。そんなものたちに、人はより想像力をかきたてられるはず。今回は、そんなものを集めてご紹介しています」(小林さん)

「ミナ・ペルホネン」のデザイナーが監修

IDEE CRAFTSと並び、新たな提案として1Fで展開するのが「POOL ためてつなげるものづくり」。ものづくりの過程で発生するハギレや端材、流通の過程で発生するキズ・汚れなどで販売できなくなった商品をためておき、様々な企業・クリエーターとつながりながら、新たな価値のある商品に再生させる取り組みだ。同プロジェクトでは、「ミナ・ペルホネン」のデザイナーである皆川明さんが監修を務める。

同企画の「コロコロのもの」第1弾はテーブルウェア。福祉施設「しょうぶ学園」で活動するアーティストが描いたドット柄を、無印良品の白磁シリーズのB品にコラージュし、プリントしたもの。ひとつひとつ、味わいのある仕上げになっているテーブルウェアは、思わず手にとって、その質感や絵柄の楽しさを確かめたくなるものばかりだ。

「コロコロのもの」の第1弾はテーブルウェア

また、アパレルシリーズ「いろいろの服」も展開。無印良品のファブリックから出た余り布を使って後染めした、ワンピースやエプロンなどの素朴な顔をもつ普段着が並ぶ。豊富なカラーと天然素材の心地良さに思わずほっこりしてしまう。

アパレルシリーズ「いろいろの服」も展開

ひとつ上の上質な家具をテーマごとにディスプレイ

2階のコンセプトは「SCENES」。照明、インテリアアクセサリー、家具などが「NYの男のロフト」「静寂」「収穫」といったテーマごとにコーディネートされている。ここでは過去にマイナビニュースで紹介したアーオ ソファといった人気アイテムを触ることもできる。

テーマごとにコーディネート

なかでも注目は、ベルギー出身のデザイナー、マリナ・ボーティエと取り組んだ新シリーズ「DIMANCHE(ディモンシュ/日曜日)」。ホワイトオークの無垢材を使い、直線とカーブの組み合わせ、手触りの良さにこだわったラインナップは今年5月に発売されたばかりだ。けっして華美ではないのに、豊かな空気感が漂うコーディネイトは、さすが!としか言いようのない仕上がり。

そこには、イデーが誕生以来、大切にしてきた「Laugh & Luxe」のスピリットが感じられる。質の高さを感じさせるものでありながら、思わずにやっと笑ってしまう遊び心もかいま見え、大人をリラックスさせてくれる。これから一人暮らしをする人にとっても、既に住居を構えているファミリーにとっても、もうひとつ上のもの選びのヒントになりそうだ。

もの選びの参考にしたくなる

思わず顔がほころぶ、より実験的なアート空間

3階は「Coordinate Lab」がコンセプト。インテリアコーディネートをコンシェルジュに相談できる"実験室"という顔も持つ同フロアには、アーティスト色の強い家具が並び、ポップでモダンな空間が広がる。

インテリアコーディネートの相談も

また今回のリニューアルにより、各フロアにあったイラストなどのアート作品を3階の壁一面に集約した常設ギャラリーが誕生した。これまでも「IDEE Life in Art」と称し、展覧会や作家の活動を紹介するイベントを実施してきたイデー。アンリ・マティスや舞木和哉など才能あふれる現代作家の作品やパリの老舗リトグラフ工房idemからのコレクションなどが飾られ、アートと暮らす楽しみを提案している。

アートと暮らす楽しみを提案する

おわりに

イデーのグループブランドである無印良品 有楽町のリニューアルなど、人気インテリアショップの大型改装が続く2015年の秋。まるごとその様相を変えたイデー自由が丘店も、毎日をもっと素敵に洗練されたものへと導いてくれるヒントが溢れている。3フロア全てに新しさや挑戦が感じられ、それがまた自然体であるのがイデーの魅力。この秋は、同店でおしゃれなインテリアの世界を満喫してみてはいかがだろうか。

(data)
IDEE SHOP 自由が丘店
リニューアルオープン日:2015年9月18日(金)
住所:東京都目黒区自由が丘2-16-29 1~3F
営業時間:11:30~20:00(平日)、11:00~20:00(土日祝)