阪堺電気軌道は28日、上町線住吉~住吉公園間(営業キロ0.2km)の軌道事業の廃止について発表した。廃止予定日は2016年1月31日(運行最終日は1月30日)で、国土交通大臣宛に廃止申請書を提出したとのこと。
同区間の開業は1913(大正2)年7月。住吉公園停留場は南海本線住吉大社駅に隣接しており、上町線の電車はおもに天王寺駅前~住吉公園間で運行されてきた。2014年3月にダイヤ変更が行われたことにより、現在の上町線の電車はおもに天王寺駅前~我孫子道・浜寺駅前間の運行となっている。
現在、住吉公園停留場へ乗り入れる電車は朝7~8時台の平日5本・土休日4本のみ。公式サイトの時刻表では、住吉公園停留場は阪堺線住吉鳥居前停留場(住吉公園停留場から東へ70m)の時刻と合わせての掲載となっていた。
阪堺電気軌道は廃止の理由として、こうした現在の運行状況に加え、「住吉~住吉公園間の線路は敷設後60年近く経過し、住吉交差の併用軌道や住吉公園停留場構内のポイント部は老朽化が進行」「今後も安全運行を継続するためには、抜本的改修が不可欠ですが、改修には数億円規模の費用が必要」などと説明。同社の経営にも大きく影響することから、この区間の軌道事業を廃止せざるをえないとの決断に至ったという。
住吉~住吉公園間の廃止にともない、ダイヤ変更が行われ、現在の住吉公園停留場発着の電車が我孫子道停留場までの運行に変更される。利用者は住吉鳥居前停留場から乗車することになるが、現在の輸送力は維持され、我孫子道方面への利便性も向上するとのこと。ダイヤ変更の詳細は後日発表予定。老朽化が著しい住吉停留場付近の交差部の軌道も改修し、阪堺線の電車運行と道路交通の安全性向上も図るとしている。