今までは繁忙期日の予約方法について見てきたが、今度はホテル選びにも注目してみよう。都市部ではターミナル駅のホテルに人気が集まる傾向がある。各線が乗り入れるため便利だが、その人気ゆえ競争率は高い。また、ターミナル駅は規模が大きいので、降車したホームから駅の外へ出るまでに相当な時間を要する。ホテルのアクセスに掲載されている「駅徒歩●分」に要注意だ。駅出口からの計測と電車を降りたホームからの計測では、倍以上の時間がかかるケースもある。

東京都周辺のホテルを探しているなら、千葉県の新興住宅街という選択もある(写真はつくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅前)

ターミナル駅の隣駅も要チェック

そこで、ターミナル駅の隣駅にも目を転じてみよう。筆者の経験だが、ホテルの公式サイトへ表記された駅からの所要時間が変わらない「山手線内のターミナル駅近くのホテル」と「隣駅の同クラスホテル」を比較してみたところ、ターミナル駅から徒歩でホテルへ行く場合と隣駅から徒歩でホテルへ行く場合では、場合によっては後者の方がより早く到着できることもある。

また、ターミナル駅の隣駅周辺のホテルはターミナル駅周辺のホテルと比較して、料金は10%程度安いほか、客室面積が10~20%広い傾向にある。もちろん、予約のしやすさは言うまでもない。

郊外も狙い目! オススメは千葉県の新興住宅街

そうは言っても、都心部ホテルが軒並み予約困難という状況はあるだろう。そのような時のオススメは「隣県駅近ホテル」である。

東京都心部で地下鉄やバスなどと乗り継ぎ、駅からホテルまで徒歩で行く場合など、ホテルへ到着するまでに30分くらいは平気で経ってしまう。ところが、都内のターミナル駅から郊外へ延びる鉄道路線は速達性が高く、30分もあれば隣県への移動が可能だ。

中でも筆者のオススメは、柏市、八千代市、印西市などの千葉県の新興住宅街。近年開発されたような街の駅周辺にはホテルが建設されるケースが多く、駅前や駅直結の新しく利用価値の高いホテルが多い。また、飲食店やスーパーマーケットなど商業施設も併設されているので、食事にも便利だ。

進化型カプセルホテル・レジャーホテルは穴場

それでもどうしても都心に泊まりたい、という時の裏技が「カプセルホテル」と「レジャーホテル」。ともに"進化型"と言われる高品質な施設が増えている業態である。今日のカプセルホテルは女性も利用できるオシャレな施設が増えているし、当日のウォークイン客(飛び込み客)の枠を別途設けている施設も多い。

進化型カプセルホテルも選択肢のひとつに(写真は豪華カプセルホテル 安心お宿新宿プレミア)

一方、ターミナル駅の繁華街近くに密集しているレジャーホテル(ラブホテル)にも注目だ。そもそも休憩利用にも主眼の置かれた業態であり、宿泊稼働が伸び悩んでいるのが現状。そこで宿泊客の取り込みを狙って「ビジネスプラン」などを打ち出す施設が増えており、充実した設備やアメニティでコスパの高い宿泊利用が期待できる。探してみると、ターミナル駅徒歩3分、約30平方メートルの客室、365日宿泊7,000円均一という施設もある。ただし、中には男性ひとり利用不可の施設もあるのでご注意を。

レジャーホテルも積極的にビジネス客取り込みに動いている(写真はホテルアペルト(大塚)

これからもますます困難になることが予測される、東京をはじめとした都市部のホテル予約。利用者それぞれの目的に応じたホテル選びや予約術をさらに究め、快適なホテルステイを実現していただきたい。

筆者プロフィール: 瀧澤 信秋(たきざわ のぶあき)

ホテル評論家、旅行作家。オールアバウト公式ホテルガイド、ホテル情報専門メディアホテラーズ編集長、日本旅行作家協会正会員。ホテル評論家として宿泊者・利用者の立場から徹底した現場取材によりホテルや旅館を評論し、ホテルや旅に関するエッセイなども多数発表。テレビやラジオへの出演や雑誌などへの寄稿・連載など多数手がけている。2014年は365日365泊、全て異なるホテルを利用するという企画も実践。著書に『365日365ホテル 上』(マガジンハウス)、『ホテルに騙されるな! プロが教える絶対失敗しない選び方』(光文社新書)などがある。

「ホテル評論家 瀧澤信秋 オフィシャルサイト」