テレビ東京系人気ドラマ枠"ドラマ24"4月クールで放送された岡田将生主演の『不便な便利屋』が、早くもブルーレイ、DVDでリリースされる。北海道の富良野に向かう途中、猛吹雪のせいで見知らぬ田舎町に足止めをくらった脚本家の竹山純(岡田)が、男ふたりが営む便利屋に間借りするハメに。そこから予測不可能なストーリーが展開していくハートウォーミングコメディだ。

北海道赤平市を舞台にし、本編内で"1時間で作るスノーマン(雪だるま)の数"のギネス世界記録を打ち立てるという偉業(異業)を成し遂げた本作を監督したのは、同地の出身である"ミスター"こと鈴井貴之。同事務所所属の大泉洋と一緒に北海道の深夜バラエティとしてスタートし、全国で放送され続ける『水曜どうでしょう』でも知られる鈴井監督が、主演の岡田や、本作にもゲスト出演しているTEAM NACS(安田顕、大泉洋、森崎博之、音尾琢真、戸次重幸)について、また、北海道への思いを明かした。

――『不便な便利屋』の放送は、『勇者ヨシヒコと魔王の城』や『まほろ駅前番外地』『アオイホノオ』など、いま人気のドラマ24枠でしたね。

『不便な便利屋』で連続ドラマ初脚本・監督を務めた鈴井貴之

そうなんです。以前からドラマ24には安田顕を中心に出させていただいていましたし、各ドラマを拝見していました。いろいろチャレンジしている枠ですよね。僕も北海道ローカルの深夜バラエティでいろいろやってきた人間ですから、ドラマ24でやれるというのは願ったりかなったりでした。

――メインキャストの3人、主演の岡田将生さんと、遠藤憲一さん、鈴木浩介さんは鈴井監督からのリクエストだったのでしょうか。

そうです。まず岡田くんは、10代の頃から映画などで拝見していて、非常に繊細でステキな俳優さんだなと思っていました。そんな彼がちょっとコミカルな、そして暴走していくようなキャラクターをやってくれたらおもしろくなるだろうなと。お願いさせていただいて、行けそうだと聞いたときは本当にうれしかったですね。

左から遠藤憲一、岡田将生、鈴木浩介

――遠藤さんと鈴木さんとの相乗効果もよくて、話数を重ねるにしたがって、どんどん岡田さんが弾けていくのが楽しかったです。

この物語が加速していくのは、必要不可欠なことでした。岡田くんはそれを見事に演じてくれました。それは本人の頑張りでもあり、おっしゃる通り、3人の相乗効果で生まれたものでもあります。本当にいい感じでしたね。カメラに映っているとき以外でも、あのまんまの3人なんですよ。

――遠藤さんと鈴木さんはどんな方なんですか?

遠藤さんはいろいろな役柄を演じられていますけど、この『不便な便利屋』のバツさん(梅本)が一番ご本人に近いと思いますよ。あんな人です(笑)。とってもチャーミング。だから年長ですけど、年下ふたりにいつもツッコまれてました。鈴木さんはふたりを巧みにコントロールして、絶妙なパスを供給する素晴らしいパサー。みんなのバランスを見て、ちゃんとスペースを測って引いた芝居をしてくださいました。

――本作で狙ったことを教えてください。舞台の赤平は監督の地元ですよね。

きれいな風景と、内容のぐちゃぐちゃしたコメディというアンバランスさは狙いましたね。それから、台本があって演出があってお芝居をしてというところとは、ちょっと違う世界観を出したかったんです。『水曜どうでしょう』とか、いろいろガチでやってきた経験もあると思います。そういう要素、ニュアンスを組み込めないかなと。しょせんドラマでしょと言われるのが嫌だったんです。そういうところが僕自身にもあるので。結局、お話だから、こんな人たちいないよと。でも赤平にはいるんですよ、こうして笑って飲んでる人たちが(笑)。スノーマンをどれだけ作れるかというギネスへの挑戦も、現実と虚構をリンクさせるエピソードになると思ったんです。

――ギネスへの挑戦ですが、脚本には成功すると書かれていたのでしょうか?

失敗バージョンとAとB両方書いてました。あってはならないことですが、なにしろガチなので。ギネスに挑戦する第11話のなかで、僕が作っているシーンも映っているんですが、あれは最初の編集ではカットしてたんです。でもあの現場で、一番切羽詰まった感じで臨場感が出ているのは僕だということで、入れたほうがいいと周りに言われて入れることにしました(笑)。失敗バージョンも用意はしていましたが、そうなるとドラマとしてやっぱり盛り上がらないですからね。成功させなければならないという必死さが、あの場面では、僕から一番色濃く出ています(笑)。