「銭湯」。その響きからすでに、どこか懐かしいものを感じる人もいるだろう。一昔に比べるとその数は減少しているものの、東京都内には現在も約650軒が営業している(2015年2月現在)。意外かもしれないが、銀座や表参道、広尾のような高級でオシャレな街にも銭湯が存在しているのだ。そこで今回、個性も味もある銭湯を厳選して紹介しよう。

「テルマエ・ロマエ」の舞台に - 「稲荷湯」

古代ローマ人と日本の風呂文化の関わりをコミカルに描き、一大ブームを起こした「テルマエ・ロマエ」。2012年には主演・阿部寛さんで映画化されたのも記憶に新しい。今回紹介する「稲荷湯」は、この映画のロケ地にもなった、知る人ぞ知る名銭湯のひとつである。

「東京都北区に江戸っ子も喜ぶ名銭湯あり -「テルマエ・ロマエ」の舞台にも!?」

北区「稲荷湯」

"銭湯激戦区"江戸川区の老舗 - 「鶴の湯」

江戸川区は都内でも比較的銭湯の多い"銭湯激戦区"。対外PRにも積極的で、「お湯の富士」という富士山と関取をモチーフにしたかわいらしいマスコットキャラクターを旗頭に、区内銭湯のスタンプラリーを定期的に行っているほどだ。

今回紹介するのはそんな江戸川区に位置する、都営新宿線船堀駅徒歩6分の「鶴の湯」。創業はなんと江戸時代までさかのぼる老舗銭湯だが、2002年にリニューアルされた。外観からは破風屋根が残る以外昔の面影はなく、現代風の銭湯に様変わりしている。

「東京都江戸川区に江戸時代創業の老舗銭湯あり! 黒湯天然温泉に露天岩風呂も」

江戸川区「鶴の湯」

モダンさが売り - 「久松湯」

池袋駅から約10分先の西武池袋線「桜台駅」から徒歩約5分。練馬区の桜台という閑静な住宅街の中に、なんと天然温泉の銭湯がある。今回紹介する「久松湯」は昭和31年(1956)に創業。とは言え、創業当初は温泉ではなく、何度と工事を繰り返す中で2013年に温泉の掘削に見事成功し、翌年の2014年5月にフルリニューアルオープンを果たした。

「東京都には美術館と見違えるほどのモダンな銭湯がある! 露天風呂は天然温泉」

練馬区「久松湯」

表参道で100年以上 - 「清水湯」

国内外のブランドショップや数多くの美容院などが立ち並ぶ、流行の中心地・表参道。この銭湯「清水湯」は、表参道交差点から徒歩2分ほどの場所にある。今でこそ、この土地に違和感のないデザイナーズ風の銭湯になっているが、実は創業100年以上。現在の様相になったのは2009年のリニューアルからだ。

「東京都・表参道に創業100年以上のお洒落銭湯あり! 入浴後はベルギービールを」

港区「清水湯」

高級住宅地のそばに - 「広尾湯」

渋谷区広尾。東京の中でも六本木、青山、恵比寿、白金に囲まれた、いわゆる"アッパー"な街であり、高級住宅地や多数の国の大使館で国際色が豊かなのも特徴だ。そんな広尾の中で、オシャレ雑貨店や生活に根ざした惣菜店などがある商店街「Hiroo散歩ど~り」は、周辺住人にとって貴重な存在である。今回紹介する「広尾湯」は、その通り沿いにある。

「東京都随一のオシャレ高級街・広尾にも銭湯あり - 気取らない風情がそこに」

渋谷区「広尾湯」

銀座にも富士山がある - 「金春湯」

銀座といえば、数多くの高級店が立ち並ぶ日本一の繁華街である。そんな銀座にも、銭湯があるのをご存知だろうか? 実は銀座には現在2軒の銭湯がある。ひとつは銀座一丁目の「銀座湯」。そしてもうひとつが、今回紹介する「金春湯(こんぱるゆ)」だ。

「東京都屈指の老舗銭湯は銀座にあり! 暖簾の向こうには赤富士も」

中央区「金春湯」

東京スカイツリーと銭湯と - 「大黒湯」

東京の新しいシンボル、東京スカイツリーは墨田区で2012年に開業した。墨田区は江戸・下町の雰囲気を色濃く残した街で、このスカイツリー徒歩圏内にも数軒の銭湯が残っている。今回紹介する「大黒湯」は押上駅から徒歩5分。東京スカイツリーからも徒歩10分の好立地にある銭湯だ。

「東京都墨田区の天然温泉銭湯で、のびのびと東京スカイツリーを望む」

墨田区「大黒湯」

サービス精神がスゴい - 「一の湯」

高田馬場駅から西武新宿線で4駅。沼袋駅北口徒歩1分の銭湯が、今回紹介する「一の湯」だ。屋号の入った白い油井型煙突は駅からもよく見える。創業は昭和25年(1950)だが、2010年に全面リフォーム。学生や単身者が多く住む中野区の駅前銭湯で25:30まで営業しており、途中下車して通う客も多い人気の銭湯である。

「東京都中野区には途中下車してまで通いたくなる手厚いサービスの銭湯がある」

中野区「一の湯」

ランナー御用達 - 「バン・ドゥーシュ」

"ランナーの聖地"とも称されている皇居周辺では、平日・休日問わず多くの人々がランニングを楽しんでいる。そのニーズに応えるべく、周辺にはジョギングウエアに着替えたり、シャワーを浴びたりできる、ランナーのための施設が多く存在する。今回紹介する千代田区の「バン・ドゥーシュ」も、ランナーが求める機能も兼ね備えた銭湯だ。場所は東京メトロ半蔵門線半蔵門駅徒歩1分、お堀までわずか2ブロックのところにある。

「東京都・皇居ランは銭湯とともに! ランナーに愛される銭湯はこんなところ」

千代田区「バン・ドゥーシュ」

芸者さんに愛された銭湯 - 「熱海湯」

新宿区・神楽坂。古くに花街として栄えた地域で、表通りは今でこそカフェやバル、大型のチェーン店も多くなってしまったが、一本裏路地を入れば料亭や史跡などとまだまだ風情のある景色が残っている。今回紹介する銭湯は、そんな風情を一層味のあるものにしてくれる銭湯「熱海湯」だ。

「東京都・神楽坂の路地裏には芸者さんが愛した銭湯が今も残っている!」

新宿区「熱海湯」

"黒湯"の温泉も - 「照の湯」

東京都内にも温泉があるのをご存知だろうか。その温泉は「黒湯」と呼ばれ、その名の通り、まるで醤油のように真っ黒なのが特徴。アルカリ性で肌がすべすべになることでも人気が高く、都内最多の銭湯数を誇る大田区によく見られる。今回紹介するのは大田区の「照の湯」。こちらも黒湯で人気の高い銭湯のひとつだ。

「東京都に温泉仕立ての銭湯が! 醤油のように黒い"黒湯"のほか"古代檜"の湯も」

大田区「照の湯」

ミルク風呂も - 「小杉湯」

音楽、ファッション、サブカルチャー、若者を中心とした中央線文化と、50年以上続く阿波おどりの伝統文化が混在する"日本のインド"こと高円寺。今回紹介するのは、そんな高円寺の「小杉湯」だ。JR高円寺駅から徒歩5分。にぎやかな商店街を通り、一本路地に入ったところに佇(たたず)む、昭和8年(1933)創業の銭湯である。

「東京都・高円寺の銭湯にはミルク風呂以外にも個性光るサービスがいっぱい!」

杉並区「小杉湯」

シルキー風呂や炭酸泉風呂も - 「アクアセゾン」

近年減り続ける一方の銭湯の形態は二極化している。古き良き昭和の姿を保つ伝統的な銭湯と、時代に合わせてより近代化・充実した設備を目指す銭湯である。今回紹介するのはその後者、東武東上線「ときわ台」駅より徒歩7分のところにある「アクアセゾン」(東京都板橋区)という銭湯だ。

「東京都板橋区の銭湯はシルキー風呂と炭酸泉風呂がダブルで楽しめる!」

板橋区「アクアセゾン」