今年で女優デビュー20周年を迎えた黒谷友香(39)。モデルを経て、プロボクサー・辰吉丈一郎の自伝を基にした映画『BOXER JOE』(1995年公開)のヒロイン役に抜てきされ、女優として本格的に活動するために、大阪から上京した。以後、黒谷は20年間、途切れることなく映画やドラマに出演することになる。

女優デビュー20周年を迎えた黒谷友香 撮影:大塚素久(SYASYA) ヘアメイク:Nico スタイリスト:関けいこ 衣装=ジャケット&パンツ:マウリツィオ ペコラーロ/三喜商事 ブラウス:ピアッツア センピオーネ/三喜商事 アクセサリー:koaniani/コアニアニ

「常に『今』な感じ」で突き進んできた黒谷が30代最後となる今年、17歳年下との恋愛を描いた作品に出演した。映像サービス・dTVで4月22日から配信スタートした『眠れぬ真珠』(全4話)で彼女が演じたのは、45歳の銅版画家・咲世子。映画監督の卵でカフェ店員・素樹(中村蒼)と出会ったことで、愛し合う喜びと別離の間で揺れる女心を熱演している。

劇中の咲世子は、銅版画家としてデビュー20周年を迎える。偶然にも境遇が重なった黒谷は、咲世子の吐く言葉、心情をどのように読み取っているのか。役柄を通して、20年間活躍し続ける女優・黒谷の原動力と魅力を探った。

――17歳年下の彼との恋愛を描いた作品でした。

このお話を頂いてから原作を読んだのですが、とても面白くて集中して読むことができました。あの世界観の作品の映像化。撮影がすごく楽しみでした。原作者は石田衣良さんですが、女性が書いたんじゃないかと思うくらい、女性の心理描写がとてもリアルなんですよ。映像と原作では少し違う部分もありますけど、面白い世界観なのでぜひ30~40代の女性に観てほしいなと思います。

――黒谷さんが演じた咲世子は45歳。実年齢の6つ年上になりますが、共感できるところ、できないところはありましたか。

原作の生々しい描写が、今回の脚本では少し和らげてあります。咲世子の抱える悩みで実感が湧かないところについては、原作を読むことでカバーしていました。原作と脚本を照らし合わせているといろいろな違いが見えてきますが、終盤は脚本だけで撮影に臨むようにしました。

共通点としては、咲世子と同じで20周年ということ。撮影していて『あっ! 一緒だ!』と気づきました(笑)。同じ年代を生きてきたベースがあるので、すごく親近感をもって演じることができたと思います。感慨深いものがありますね。

――ちょうどそのお話は伺おうと思っていました。

20年…バラエティ含めていろいろな仕事のジャンルがありましたが、特定のジャンルに限らずやっているからこそ、ここまでやってこられたのかなと思います。デビュー当初は、全然この世界のことが分かっていなくて、いただいたお仕事に向き合っているだけで。やりながら覚えていくという感じでしたので、先輩方やスタッフさんに教わって歩んで来られたのだと思います。

――1995年の映画『BOXER JOE』が女優としてのデビュー作でしたね。

もともとはモデルをやっていて、映画のオーディションを受けるようになってから、地元の大阪から上京しました。モデルの仕事の延長線上に今のような演技のお仕事があるなんて、あまり考えられなかったというか……世間知らずだったみたいで(笑)。

――今でも「来るもの拒まず」というスタイル?

いえ、今は違います。事務所にはモデル、女優、タレントなどの部門があります。私の中では、映画でデビューしたことで「モデル」としての私は終わり。上京してから岸谷(五朗)さんの舞台に出演させていただいて。あの地球ゴージャスの1回目のメンバーだったんです。今振り返ると、そんな感じで何にも分からない私を拾い上げてくれたということですね。運もありますが、周りの方々の支えが無ければ、ここまでやってこれなかったでしょうね。