トヨタ自動車の日欧戦略車「オーリス」に追加設定された最上級グレード「120T」は、同社初の新開発1.2L直噴ターボエンジン(8NR-FTS)を搭載し、「1.8Lクラスのクルマに匹敵する走行性能を持つ」(同社)という。その“走りっぷり”を体感するべく袖ヶ浦フォレストレースウェイ(千葉)へ向かった。

まずは外観から。4月6日から発売が始まったマイナーチェンジ版のオーリスには、2色の新たなボディカラーが追加された。街をパッと明るくさせるようなイエロー系の「シトラスマイカメタリック」と、シャープなラインをより引き立てる「ブルーメタリック」だ。

トヨタ自動車「オーリス」(2015年4月マイナーチェンジモデル)に新たに追加された最上級グレード「120T」。価格は259万37円。写真のボディカラーは新色のブルーメタリック

新色の設定に加え、表情もよりエモーショナルなデザインへと変貌。グリルのエンブレム部分からヘッドランプまで続くラインや、フロントロアグリルなどにメッキモールが配され、前後の表情はより力強い印象となった。全長はマイチェン前のモデルより55mm拡大され、より伸びやかなプロポーションへと進化した。

試乗した120T(2WD・FF)には、メーカーオプションの17インチタイヤ(225/45R17+アルミホイール)が装着されていた。15インチ(195/65R15+スチールホイール+樹脂フルキャップ)の標準タイヤより、さらにスポーティに映る。

乗り込むと、ウルトラスエードと本革・合成皮革を組み合わせた専用シートのホールド感・フィット感に進化を感じる。「ステッチの縫い合わせや、パネルの立て付けなどは、欧州車を越える上質な質感にこだわった。ピアノブラックとサテンクロームメッキが組み合わさるセンタークラスターなどにプレミアム感を感じてもらえるはず」と同社開発担当者は話していた。

トヨタ初の新開発1.2L直噴ターボエンジンを回し、アクセルをガバッと踏むと、もたつくことなくリニアに気持ちよく加速していく。5500回転あたりからレッドゾーンとなり、1500~4000回転という幅広い回転域で最大トルクを発生させるというから、その手前まで躊躇することなく思いっきり回せる。

この新たなダウンサイジングターボエンジンと組むSuper CVT-i(自動無段変速機)には、アクセル操作からドライバーの要求する駆動力を算出し、最適なトルクと変速比を生み出す機能が付いている。Dポジションでスポーツモードを選ぶと、この機能の価値がわかる。コーナーの手前でドカッとブレーキを踏み、出口へ向けてアクセルを踏んでいくと、自動的に最適なギアへシフトダウンしてくれて、気持ちいい回転数で一気に加速してくれる。

トヨタ自動車「オーリス」(2015年4月マイナーチェンジモデル)の新たに追加された最上級グレード「120T」。価格は259万37円。写真のボディカラーは新色のシトラスマイカメタリック

DポジションからMポジションへと切り替えて、パドルシフトをカチカチとやりながらサーキットを走ると、マニュアル車に乗っている感覚を覚える。このクルマがCVT車であることを忘れてしまうほどだ。

オーリスは、見事な走りっぷりに加え、“堅い守り”も付く。120Tに標準で装備される衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」だ。フロントガラスの内側に付いたレーザーレーダーとカメラが前方の障害物を検知し、ブザーとディスプレイでドライバーに危険を知らせてくれる。このプリクラッシュセーフティ機能は、状況によって自動ブレーキも作動させる。このパッケージには、車線逸脱を防ぐレーンディパーチャーアラートや、ハイ・ローのビーム角度を自動で切り替えるオートマチックハイビームといった機能も付いている。

“攻めと守り”の双方が充実したオーリス120Tは低燃費もウリ。JC08モード走行燃費は19.4km/Lで、「平成27年度燃費基準+10%」を達成。「平成17年基準排出ガス75%低減レベル」の認定取得により、エコカー減税の対象となる。

気持ちよく回る小さなターボエンジン、マニュアル車のような操る楽しさがあるSuper CVT-i、そして低燃費。リニアな加速感と衝突回避支援パッケージの安心感に浸りながら、「このままずっと走っていたい」と感じた。