天井すれすれまで高く振りかざしたポットからコーヒーとミルクが滝のように落ちてくる。バシャバシャと注がれたカップの中でにひとつになるとあら不思議、カフェ・オ・レの出来上がり。これぞ名づけて"秘技カフェ・オ・レ天井落とし"! さらに最新進化形、ツインタワーまで!! こちら、昭和21年(1946)創業の名古屋の老舗「喫茶ツヅキ」で話題沸騰のパフォーマンスである。

これが"秘技カフェ・オ・レ天井落とし"のツインタワーバージョン!

「コーヒーは男性、ミルクは女性」で恋愛成就!?

もともとは「高いところから注いでカップの中で泡立つように混ぜると、泡が長持ちしてクリーミーでおいしくなる」(マスターの都築憲幸さん)という理由から始められた。ところが、客が喜んでくれるからとどんどん高くなり、ついには脚立に乗って高さ2.5mから注ぐサービスにまで発展。さらに、2013年からは息子の秀紀さんと父子が並び立つツインタワーが誕生した。

シングルだとこんな感じ。マスターの都築憲幸さんは自称「日夜ユニークなコーヒーを研究する"コーヒー野郎"」

ツインになって見た目のインパクトは2倍以上! さらにトークの面白さまでバージョンアップ。「コーヒーは男性、ミルクは女性。2つがカップの中でひとつになることから恋愛成就、夫婦円満を現します」と、自ら恋愛パワースポット宣言も。

「ここがベストポジション」と客を脚立の下に潜らせ、「動画だったら上を見上げて撮ると迫力ありますよ」とおせっかい……もとい、懇切丁寧な撮影のアドバイスも。そして、最後はマスターと並んでの記念撮影で、決まり文句は「はい、チーズ! 」ではなく「カフェ、オーレ! 」。

記念撮影の合言葉は「カフェ、オーレ!」

これを目当てにわざわざ遠方から訪れるカップルやグループも珍しくなく、週末や連休ともなると観光地状態だ。おしゃべり大好きなマスターのテンションもますますヒートアップし、店内のあちこちから笑い声や歓声が上がる。このパフォーマンスは「カフェ・オーレ」(540円)を注文すれば披露してくれるが、混雑時は対応できない場合もあるのでご注意を。

入口は目立たないがわざわざここ目当てで訪れる一見も多い。店内は観葉植物がいっぱい

モーニングは29種類から日替わりで

もちろん、パフォーマンスだけでなくメニューも充実。コーヒーは自家焙煎で、名産地のストレートコーヒーが50円引きとなるサービスタイムもある(14時~20時)。モーニングサービス(7時30分~11時)は何と29種類を日替わりで提供! ドリンク代だけで日替わりのパンメニューにフルーツヨーグルト、サラダが付いてくる。

1カ月毎日来ても異なる内容になるよう種類を拡充し、モーニングは何と29種類に

他にも、器からフルーツがこぼれ落ちそうなほど山盛りのプリンパフェ、アメリカ西海岸で話題のエッグスラット(1,080円、ランチタイムは810円)、名古屋ならではのぜんざいコーヒー(540円)、うめぼしコーヒー、日本茶コーヒーなどの変わり種コーヒー(やっぱりネタ喫茶? )など、バラエティー豊かなメニューがそろっている。

最新メニューは米西海岸のトレンド、エッグスラット。卵とマッシュポテトをかき混ぜてパンに乗せて食べる

ぜんざいコーヒーはあんこ好きが多い名古屋ではしばしば見られる。あんこを砂糖代わりにコーヒーに入れて味わう

名古屋駅から地下鉄でひと駅、タクシーなら5分と旅行ついでにも立ち寄りやすい。まずは"秘技カフェ・オ・レ天井落とし"でテンションを高めてから、名古屋旅行を楽しむのもいいのでは?

●information
喫茶ツヅキ
愛知県名古屋市中村区太閤通6-1ツヅキビル2階

※記事中の情報・価格は2015年3月取材時のもの。価格は税込

筆者プロフィール: 大竹敏之(おおたけとしゆき)

名古屋在住のフリーライター。雑誌、新聞、Webなど幅広い媒体で名古屋情報を発信。Webガイドサイト「オールアバウト」では名古屋ガイドを務める。名古屋メシ関連の著作を数多く出版。『名古屋の喫茶店』『名古屋の居酒屋』『名古屋メン』『続・名古屋の喫茶店』(リベラル社)は自腹リサーチをコンセプトにしてご当地ロングセラーに。10月上旬にはご当地グルメコミックエッセイ『まんぷく名古屋』(KADOKAWA、森下えみこ著)に案内人として登場。