ニュートリーはこのほど、「介護食」および「嚥下(えんげ)食」に関する調査結果を発表した。同調査は、ソーシャルサービスが2014年12月1日~2015年1月7日、全国の20代以上の男女663名を対象にインターネット上で実施したもの。

「嚥下食を知っていますか?」

「嚥下」とは、"ごっくん"と飲み下すことを指す。普段、食事の際に反射的に嚥下を行い、食べ物を食道へと送り込んでいるが、加齢や疾患により、この反射(嚥下反射)がうまくできなくなり、むせたり、「誤嚥(ごえん)」といって気管に入ってしまったりすることがある。嚥下障害は、誤嚥のほか、窒息、肺炎、低栄養、脱水症状などの苦痛をもたらすといわれており、その改善に有効な手段が、科学的な基準に基づき、飲み込みに適した「嚥下食」だという。

なお厚生労働省の発表では、日本では肺炎で亡くなる人が年間12万人を超え、死因別統計でも2011年に脳血管病を抜いて、「がん」「心臓病」に次ぐ第3位となった。そして、高齢者の肺炎を引き起こす主な原因として、嚥下障害によって起こる「誤嚥性肺炎」があげられる。

これらの現状を踏まえ、嚥下食の認知度について調査を行った。その結果、「知っている」と答えた人は23%で、嚥下食について正しく理解している人は全体のおよそ4分の1であることがわかった。「何となく聞いたことがある」人も32%いたものの、44%の人は「知らない」と回答。また、嚥下食の利用経験について聞くと、「嚥下食を利用したことがある」人は11%にとどまった。特に介護経験者の多い50~70代女性に多い傾向となっている。

「誤嚥性肺炎という病気を知っていますか?」

さらに「誤嚥性肺炎という病気を知っているか」を聞いたところ、55%が「知っている」、26%が「何となく聞いたことがある」と回答。介護経験を通じた食事の悩みも大きい中、高齢者にとって死につながる「誤嚥性肺炎」の認知や関心が高いことがうかがえる。

また、「誤嚥性肺炎をどうしたら予防できるか」との質問には、「とろみをつけ、流動性を高める」「ゆっくりと食べさせる」などの正しい予防法が回答にあがった。一方で、「食べ物を小さく刻む」といった、噛む(咀しゃく)機能の低下した人に対する食形態の回答も多く寄せられ、飲み込む(嚥下)機能の低下に関して、正しく理解がされていないことがうかがえる。これに対し、「きざみ食は嚥下障害者にとっては飲み込みにくく、細かく刻まれた食材が誤って気管に入り、誤嚥性肺炎を起こす危険性があります」と同社は警鐘を鳴らしている。

続いて「介護の中で何が大変か」を聞くと、「排便」「食事」「入浴」が上位3位にあがった。中でも「食事」において大変と感じる要因は、「食べる時間がかかる」をトップで、2位以下には「なかなか食べない」「むせて飲み込めない」が続く。これについて、「なかなか食べない」「むせて飲み込めない」といった状態が、「食べる時間がかかる」という結果にもつながっていると考えられる。

「あなたは介護経験はありますか?」

最後に「あなたは介護経験があるか」という質問に対して、「現在介護中」の人は16%、「過去に介護していた」人は31%と約半数が「介護経験あり」と回答。年齢別に見ると、60代女性では71%、70代女性では62%が介護中や介護経験者という結果となった。