――芸能界デビューのきっかけとなったのはグラビアアイドル?

もともと舞台をやっていたんですが、そこである方から「お前には色気がない。醸し出すものが何もないただの少年だ」「他の出演者にはあるけどお前にはない」と言われて。すごく傷ついたんですが、なぜなんだろうと考えているうちにグラビアアイドルをやればその答えが分かるのかなと。

―― 一部では「芸能界で一番エロい体」とも称されているそうですが、舞台での厳しい言葉とは真逆ですね。

そうみたいですね。一体誰が…少なくとも私が言い出したことではないのは確かです(笑)。

――色気を突き詰めた結果の称号とも言えるのでは?

でも私、色気ないんですよ。一生懸命がんばって発しているんです。むしろグラビアアイドルの頃の方が演じている感じがします。きっと芝居の方が素に近いんじゃないですかね。

――もう少しその研究の成果を聞きたいのですが、色気を出す秘訣やテクニックは?

カメラに恋をする。安直な考えなんですが、好きな人の前ではこんな私でもきっと色気は出ているだろうと。好きな人から撮られていることを意識していたら、自分で「好きな人の前では確かにこんなことしてた」と客観視できるようになってきました。

――グラビアアイドルとして有名になった後に、女優として本格デビュー。映像作品の中での「女優のヌード」は度々話題になりますが、何度か経験された佐々木さんにとって「演じる上での脱ぐ」とは?

一番人間くさい瞬間だと思います。そもそも恋愛もうまくいくまでに色々悩んだりして、とっても人間くさいと思いませんか?

――確かにヘイサクとの絡みで「人間くささ」は感じました。「濡れ場」という言葉はふさわしくないと思いますが、現場はどのような雰囲気で撮影していたのでしょうか。

すごく軽やかでした。童貞の男子はどんなSEXをするんだろうとみんなで真剣に考えていました。監督が体勢を変えるように指示していたんですが、町田(啓太)くんから「童貞はたぶん体勢なんか変えられないと思います」という意見が出て(笑)。あとは「童貞にとっての憧れの体位」の話題とか。

――すごく楽しそうです(笑)。昨年は4作の出演映画が公開されるという大活躍の年でしたね。

飾るのをやめた年でした。『フィギュアなあなた』で全部出しきっちゃったので。隠すことがないので開き直った1年だったんじゃないかなと(笑)。振り返ってみればいいきっかけだったと思います。石井(隆)監督の世界観の中で旬な自分を残せるのであれば「やりたい」という思いがあったので、出演を決意しました。

――ヌードを初めて求められた時に、周囲への相談は? 仲の良いお母さんとか。

してないです。グラビアも勝手に自分で決めてきたので。初めての映画が決まった時も、「映画に出るから」という程度で(笑)。

――ご家族の皆さんもそんな調子なんですか。

お父さんは「さすが!」って褒めてくれました。「海外の女優はみんな脱いでいるんだ!」って(笑)。両方ともミュージシャンなので、ちょっと思考が変なんですかね。

――芸術として必要なことだと。

そうですね。家族は大丈夫だろうと安心はしていたんですが、正直親戚となると反応が怖かったです。でも、『フィギュアなあなた』の初日舞台あいさつに親戚一同が来てくれて。映画館の一列を独占していました(笑)。

――何よりも心強い親衛隊(笑)。そういう身近な応援は励みになりそうですね。

その環境があるから、何も厭わずにやれるんだと思います。

――ブログでファンからの質問に直筆文で答えていらっしゃいますが、はじめたきっかけは?

ファンの方には、いつももらってばっかりなんです。お返しはサインぐらいしかしてないなと思って。なかなかお話しする機会もないので、ブログ上で会話をしようと。普通に答えるだけじゃ物足りないなと思って、いつはじまるか分からない企画ということで(笑)、直筆でやることにしました。

――いつごろから「ファン」という存在を感じはじめましたか。

グラビアのイベントの時ですね。こんなに私のために来てくれたんだと思って。衝撃的でした。DVDの売り上げとか「そんなわけないじゃん」と感じていたのが、現実だったんだとようやく感じることができました。みなさんが私をどう思ってくださるのか分かりますし、すごく励みになります。

――ブログには「富士見高原スノーリゾート」のCMについても書かれていました。本当に何でもやる人なんだと驚きましたが、全部自分で作ったそうですね。

あっ、見ちゃいました(笑)? 私の「乗り物」に関する歌をずっとCMで使ってくださっていたんですが、その富士見高原リゾートの社長が面白い方で。今年は違うCMにしたいというこだわりをお話されていて、「全部君がやらない?」って言われたんです(笑)。そんなに私を信用していんですかと思いながらも、すぐに飛びつきました(笑)。でも、編集まで頭抱えていましたけどね。構成、絵コンテ、出演、編集のすべてをやらせていただきました。

――こうして、さまざまなジャンルでご活躍ですが、今後はどのような「佐々木心音」を目指していきますか。

私、ジャック・ニコルソンになりたくて。中学生ぐらいに『カッコーの巣の上で』を観たときは「かっこいいおじさん」という印象だったのが、そこからずっと私の頭に残っています。楽しいと思えるものを全部チャレンジしている感じがして。唯一無二の存在。独特の雰囲気がある俳優さんですよね。私は今まで、どちらかと言うと大人しい役が多かったんです。だから、今度は危害を加える役なんかもやってみたいですね(笑)。

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■プロフィール
佐々木心音(ささき ここね)
1990年5月22日生まれ。東京都出身。10代から舞台女優として活動し、2011年に発売したファーストDVDがAmazonで売り上げ1位を記録した。その後に発売したDVDでもヒットを連発。出演映画は『フィギュアなあなた』(13年)、『パズル』(14年)、『ライヴ』(14年)、『マリアの乳房』(14年)、『TOKYO TRIBE』(14年)など。