ハウステンボス(所在地: 長崎県佐世保市)は1月27日、ハウステンボスと都内会場を中継した記者会見を実施し、7月15日に開業するスマートホテルプロジェクト「変なホテル~変わり続けることを約束するホテル~」の全貌を発表した。

第1期棟は7月15日に開業を予定している

完全変態の「変なホテル」

同社は2013年5月より、東大生産技術研究所などと連帯した実験施設「ハウステンボス・スマートハウス」を通じて、新空調システムを含めた環境未来都市を目指した様々な実験や検証を進めてきた。今回のスマートホテルプロジェクトでは、実験施設で高められた技術を用い、「世界最高水準の生産性の高いホテル」を目指したホテルを展開していく。ホテルは、第1期棟は7月15日に開業(72室)、第2期棟は2016年に開業(72室)を予定している。

ネーミングの「変なホテル~変わり続けることを約束するホテル~」には、環境や時代の変化、また、技術の進歩に合わせてホテルも日々変化するという意味が込められている。そのため、ロゴには完全変態する日本の国蝶「オオムラサキ」をモチーフにしたという。ロゴにはさらに、大和絵にも描かれている「すやり霞」やすくすくと成長する「竹」のデザインを用いることで、日本らしさも演出している。

ホテルのロゴは、オオムラサキやすやり霞、竹をモチーフにしている

ホテル運営の3大コストを削減

生産性を高めるために、同社はホテル運営で大きな支出となる「建設コストの削減」「人件費の削減」「光熱費の削減」に着目した。"建設コスト"では輸送に適したモジュールの使用や工期短縮・人件費削減につながる現場作業の簡略化などを展開。"人件費"はフロントやポーター、清掃のスタッフに代わってロボットを採用する。そして"光熱費"に関しては、空調の代わりに放射や用いたり、太陽をコントロールする屋根や風が抜ける空間をデザインしたりすることで省エネを図るという。

建設に関しては今後の国内・海外への展開を見通した上で、現地で確保できる原材料や環境、エネルギー事情などを踏まえたコストの削減を構想しているという。また、ロボットによる自動化は将来的には9割まで高めることを目指し、光熱費に関しては現在構想している第1期棟でも従来に比べて30%削減できる見通しだが、将来的には50%にまで光熱費の削減を図るという。

7月15日の開業時には、フロントに3体のロボットを配置する予定

第1期棟と第2期棟の共有部分となるエントランス棟の内部イメージ

料金はオークション方式

今回のスマートホテルは、ただローコストホテルなだけではない。快適性をそのまま保つのではなく、新しい付加価値も追求している。

導入するロボットは、フロントやポーター、ロッカー、客室清掃のシーンでの運用を予定しており、特にフロントでは独自のエアーサーボ機構によるなめらかな表情・動作と的確な対応で、訪れた人をもてなしてくれる。また、チェックイン時に顔認証登録をすれば、ルームキーを持ち運ぶわずらわしさや紛失の不安から解放されるなど、ITを駆使することで興味深さや快適性の向上を目指している。

第1期棟は敷地面積1万188.92平方メートル、延床面積3,541.16平方メートルの地上2階建てで、客室はAタイプ(28.27平方メートル/40室)、Bタイプ(21.32平方メートル/20室)、Cタイプ(33.75平方メートル/12室)の計72室。料金はオープンプライス(オークション方式)を採用する。利用時期により通常の「ボトム(A)」、3連休などの「ミドル(B)」、お盆や年末年始などの「トップ(C)」の3段階で料金を設定する。

第1期棟デラックスルームのイメージ

「ボトム(A)」を例にした場合、まず、シングルなら7,000円~1万4,000円、ツインなら9,000円~1万6,000円、トリプルなら1万1,000円~1万8,000円の中から希望する金額(1,000円単位)で予約をする。この時、最大金額(シングルなら1万4,000円)で予約すればすぐに予約確定になるが、そのほかの金額の場合、予約してから4~8週間の間に確定か不可かの連絡が届くというシステムになっている。なお、確定か不可かの連絡は宿泊予定日の1~2カ月前までには行われる予定。

なお、上記の金額は1泊1室料金でサービス料込、税別の料金。朝食はひとり+2,000円となる。「ミドル(B)」は「ボトム(A)」の+2,000円、「トップ(C)」は「ボトム(A)」の+4,000円~1万7,000円。部屋をアップグレードする場合、スーペリアルームは+2,000円、デラックスルームは+4,000円となる。

第2期棟のイメージ

7月15日の開業に先駆け、ホームページにて2月1日10時より先行仮受付を開始する。電話での予約は3月1日からとなる。ハウステンボス内に展開するスマートホテルプロジェクトは0号という位置づけで、実際に運営しながらそれぞれの機能性を検証していくという。第2期棟も含めた検証が完了した後には、2016年内にもハウステンボスと事実上の姉妹施設である「ラグナシア」(所在地: 長崎県佐世保市)周辺に1号ホテルを検討しているという。