――行きと帰りでフライト時間が違うのはなぜ?

江戸:行きと帰りの時間の違いは偏西風の影響です。冬は特に偏西風は速く、時速360キロぐらいになることもあります。追い風となる東向きであればプラス360km/h、向かい風となる西向きではマイナス360km/hということになります。

そのため、同じ距離の飛行でも時間が変わってきてしまいます。例えばホノルル行きは東向きとなるので冬場の場合は5時間ぐらいですが、帰りは9時間くらいという差が生じます。行きはできるだけ追い風に乗り、帰りは偏西風の弱いところを狙っていくように飛行経路を変えます。

――東京-関西国際空港と東京-広島では距離が違うのに、フライト時間がほぼ同じである理由は?

江戸:決められている航路が大きく影響しています。東京-広島への航路はほぼ直線ですが、東京-関西国際空港の場合、紀伊半島、淡路島を通りぐるっと迂回して着陸しなければなりません。そのため、上空で飛んでる距離はほぼ同じとなってしまうため、飛行時間が同じになってしまうのです。

――燃料は必要な分だけ積まれているものなのでしょうか? それとも少し多めに給油されているのでしょうか?

江戸:燃料は満タンにすると飛行機が重くなり、燃費が悪くなりますので、必要な分だけ計算を行い積んでいます 。ただし、到着地の天候が悪ければ1時間ぐらい着陸できないという可能性もあり、また他の空港への着陸を行うこともあるため、その時の状況に合わせて様々な要件から毎回計算されています。例えば沖縄空港の場合は、空港の燃料備蓄タンクへは、タンカーが横付けして給油を行っています。台風の場合にはタンカーが近づけないことがあり、燃料備蓄タンクへの燃料補給ができず、結果、飛行機への燃料補給ができないことなどがございます。その場合は、出発地で帰りの分の燃料も積載していきます。

※今回の質問は実際に日本航空に寄せられたものをベースに作成しています。

撮影:糠野伸