全国的に名前を知られた銘菓の中でもひときわ人気が高い「白い恋人」。 サクサクのクッキーとサンドされたチョコレートの相性が抜群で、頬張るたびに幸せな気分に酔いしれることができる。そんな銘菓の人気の秘密に迫るべく、販売元の石屋製菓の坂井修江さんにお話をうかがった。

白い恋人18枚入りホワイト(1,142円)

もともとは駄菓子を中心に製造

「白い恋人」が誕生したのは、今から30年以上前のこと。昭和22年創業(会社設立は昭和34年)の石屋製菓は当時、駄菓子を中心に製造していたという。ところが、シュークリームやバウムクーヘンなどの洋菓子が市場に出回り始め、次第に駄菓子人気は衰退気味に。

そこで一念発起して駄菓子製造からの脱皮を図るため、様々な商品開発に取り組む過程で生まれたもののひとつが、この「白い恋人」だという。

「当時ブームになっていたホワイトチョコレートと、当社のラングドシャーを一緒に食べたところ、得も言われぬ感触とおいしさが生まれることが分かり、これが開発のきっかけとなりました」と坂井さん。

「白い恋人」各種。パッケージデザインもステキ

しかし、商品が完成した時点で名前が決まっておらず、ネーミングについてスタッフ全員が頭を悩ます日々が続く……。そんなある日、創業者の石水幸安氏が、健康のために始めていた「歩くスキー」(北海道ならでは!)を終え、夜の公園から慌ただしい師走の街を抜けて帰ろうとしたタイミングで、空から美しい雪が舞い降りてきたという。

玄関に入るなり何気なく「白い恋人たちが降ってきたよ」との言葉を発した瞬間、石水氏自身、「あっ、これだ!」と閃(ひらめ)いたんだとか。

運命的な瞬間に名前が決定した新商品は、たちまちみんなの人気者に。現在では全国津々浦々の人が土産物として、そして、北海道銘菓として親しんでいる。もちろん地元の人たちにも、お祝い品や贈答品として愛され続けているのだという。

「シンプルなお菓子だからこそ、一つひとつの工程でも気を抜かず丁寧に作り続けることで、"変わらないおいしさ"を守っています。生地に牛乳を加えるタイミングがほんの少しずれるだけでもクッキーのサクサク感が異なってきますし、その日の天気や温度・湿度によっても品質が変わるので、オーブンの温度調節にも気を配っています」。

製造過程の「白い恋人」

アイスと一緒に楽しむのも◎

その自慢の商品をおいしく食べるコツを尋ねたところ、「アイスクリームと組み合わせるのもオツですよ。白い恋人(ホワイト)にはチョコアイス、白い恋人(ブラック)にはバニラアイスが合います」と坂井さん。

また、サクサクパイにブルーベリー、キャラメル、マロンのクリームが挟まった「美冬」、「白い恋人」のホワイトチョコを練り込んだバウムクーヘン「白いバウムTSUMUGI」、ホワイトチョコレートを使ってふわふわに仕立てた「白いロールケーキ」、バターとチョコレート、北海道産チーズパウダーを練り込んだ「i・ガトー」などの人気商品も教えてくれた。

「美冬(みふゆ)」各種(3個入り=税込390円、6個入り=同761円、12個入り=同1,522円)

「白いバウム」(1,296円)

「白いロールケーキ」(1,296円)

「i・ガトー」(1個216円、5個入り=1,080円、10個入り=2,160円)

工場見学で量産型「白い恋人」に出合う

さらに、北海道を訪れた際にはぜひ立ち寄ってほしいのが、札幌市にある「白い恋人パーク」だ。こちらでは工場見学のほか、食事や買い物、アトラクションまで楽しむことができるのだ。

「パーク3階から『白い恋人』の製造ライン(※有料=買い物エリアは無料で入館可、それ以外は別途入場料が必要)をご見学いただけるのですが、焼き立てのラングドシャーにチョコをサンドする様子や、冷却、賞味期限の印字、個包装という一連の工程が分かって楽しいですよ。

イギリス製のアンティーク家具満載の喫茶『チョコレートラウンジ』(有料)では、オリジナルカップでチョコレートドリンクやチョコレートフォンデュをお楽しみいただけ、パフェやソフトクリームも堪能いただけます。からくり時計塔の『チョコレートカーニバル』の時間(=毎正時)には、かわいい人形たちの行列を間近でご覧いただけますよ。

お子さまと一緒にご来店なら、お菓子作り体験工房(有料)でチョコペンを使って『白い恋人』にメッセージや絵を描いてみてはいかがでしょう? エプロンやお帽子、くつカバーの用意もあるので、お気軽にお楽しみいただけます」(坂井さん)。

3階通路から、「白い恋人」の製造工程を眺めることができる

お菓子作り体験は、『白い恋人』お絵描きコース=ひとりで1枚の場合1,080円、ひとりで2枚の場合1,620円など、予算に応じてさまざまなプランを選べるとのことなので、事前にホームページでチェックしてから出掛けるのがよさそうだ。

冬の北海道で真っ白な雪を体感した後に立ち寄れば、楽しい思い出をそのまま「白い恋人」に落とし込むことができるかも!

※基本入場料=600円、体験工房等利用の場合は入場料割引あり。記事中の情報・価格は2014年10月取材時のもの。価格は税込