協和発酵キリンはこのほど、妊娠中の女性特有の病気である「妊娠糖尿病」の病気の症状や原因、リスクの現状について明らかにした。

妊娠糖尿病の診断基準 妊娠糖尿病の診断基準

厚労省によると、日本国内で糖尿病と糖尿病予備群の総数は2,050万人と推計されている。糖尿病患者の増加とともに、最近増えているのが「妊娠糖尿病」である。妊娠中は胎児に糖を与えるため、母体はインスリンが効きにくい状態になる。食生活や生活習慣に気をつけていても、糖のバランスが取れず血糖値が高くなり、軽度の高血糖をきたすことがあるという。

妊娠糖尿病の診断基準は2010年に大きく変化し、世界共通の診断基準が提唱された。現在、「妊娠中に初めて発見、または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である」と定義されている。

妊娠糖尿病の罹患(りかん)率は、全妊婦の10%前後だという。妊娠中に血糖のコントロールができなくなる状態が続くと、早産や尿路感染症、妊娠高血圧症候群、羊水過多症などのリスクが上昇。また、胎児が巨大児になり難産となったり、出生後の赤ちゃんが低血糖を起こしたりする可能性も高くなる。

同社では妊娠糖尿病になりやすい主なリスクファクターとして、「糖尿病の家族歴」や「肥満」「35歳以上の高年齢」などを挙げている。「巨大児分娩既往」「原因不明の習慣流早産歴」「原因不明の周産期死亡歴」「先天奇形児の分娩歴」を持つ場合も注意が必要だ。「尿糖強陽性または2回以上反復する尿糖陽性」「妊娠高血圧症候群」「羊水過多症」も罹患するリスクが高いとのこと。

妊娠糖尿病になりやすい主なリスクファクター

妊娠糖尿病は、定期的な検診と適切な治療で血糖値を管理していくことが重要となる。出産後には血糖値は元に戻るが、将来、糖尿病を発症するリスクが高いことが報告されている。