公開初日を迎えたアニメーション映画『楽園追放 Expelled from Paradise』の初日舞台あいさつが15日、東京・新宿バルト9にて行われ、釘宮理恵、三木眞一郎、神谷浩史、ELISA、水島精二監督が登壇した。

左から、水島精二、虚淵玄、釘宮理恵、三木眞一郎、神谷浩史、ELISA

数々の作品を手がけてきた水島監督にとって、初の劇場単体でのオリジナル作品となる本作。水島監督は公開初日を迎えて「皆さんに観てもらえるかと思うと緊張します」と言いつつも、同時に「試写を何度も観てきて、作品に対して自信を持っています」とコメント。舞台あいさつ中に何度も「自信がある」と口にしていたほど、手応えを感じているようだった。

釘宮が演じたのは、電脳世界ディーヴァのシステム保安を担当する三等官であるアンジェラ・バルザック。演技については「全編を通して内容を理解するのが難しかったです。後半になってようやくそれぞれの生き方があるんだと、ドラマを大切にしている作品なんだとわかった」と振り返った。苦労して取り組んだ作品なだけに、無事初日を迎えたことに「我が子を世の中に送り出せるようなホッとした気持ちです」と頬を緩ませていた。

そのアンジェラのサポートのため徴用された地上のエージェント・ディンゴ(ザリク・カジワラ)を演じた三木も、作品に関わった期間の長さや上映前のイベントなどを振り返り「(公開が)まだだったのか」と感慨深げ。ディンゴの演技自体は無理せず自然にできたといい、物語についても「(作中の)3人の関係性が面白くて、みんながそれぞれの夢に向かって成長していく過程が濃密に描かれている」と称賛を送っている。

そして、電脳世界ディーヴァにハッキングを仕掛ける謎の存在として登場するフロンティアセッター。演じた神谷も「台本を読んだら難しい話に見えた」という第一印象で「これがどう受け入れられるか? どう伝えたら新しいか?」と苦心しつつも、試写等での評判を聞き「やったことは正しかった」と自信が持てたという。また、水島監督は神谷の起用について「声がシャープで機械的な印象があり、なおかつ淡々とした中に温かみを持てる人は彼しかいない」と説明している。

3人が語るように台本だけで物語を理解するのは難しく、釘宮が思わず「台本の段階だとちんぷんかんぷんで……」と吐露。最初に難解だったと口火を切った神谷は「僕はちんぷんかんぷんとは言っていない!」と反論するものの、三木が「ちんぷんかんぷんだったよ」と被せて会場の笑いを誘っていた。

主題歌「EONIAN -イオニアン-」を担当したELISAは、TVアニメのオープニングやエンディングとは違い、音響設備の整った映画館のスクリーンで自身の楽曲が流れることに「素晴らしい経験ができててうれしかったです」と感無量の様子。この楽曲は作中で重要な役割を担っており、曲が使われている場面を観た時は涙を流したという。「素晴らしい楽曲を作っていただいて、音のこだわり、遊びも含めてよくできている」と水島監督も太鼓判を押していた。

ちなみに、4人はすべて水島監督の希望で選ばれたそうで「シナリオのテーマを伝えるためにはどうすればいいか真剣に考えた時に(頭の中に)流れた声がこの3人で、流れてきた音楽がELISAさんだった」と話している。また「(この4人を含め)全てのスタッフがいい仕事をして、総力を込めて、誇りを持ってお届けできる作品。キャリアの中でも間違いなく代表作になったと自負しています」と自身をのぞかせていた。

初日舞台あいさつに来られなかった虚淵玄氏(ニトロプラス)からは「水島さんとの初対面はお台場ガンダムの足下。その足でトランスフォーマーの映画を見に行ったのが思い出です。そんな出会いだったのだから、お互いにロボットSFを作ることになるのは運命だったのでしょう。待ちに待った成果の日の訪れを、僕もうれしく思っています」とコメントが寄せられていたが、ギリギリで会場入りを果たし、サプライズで登場。「テレビ作品の映画化は経験がありましたが、ゼロからの映画作品は初めて。自分でも節目になる作品だと思い気持ちが高まります」と喜びをあらわにしていた。

『楽園追放 Expelled from Paradise』メインビジュアル

最後に水島監督は「3DCGでは最高峰の技術の粋を集めた、エポック的な作品なので何度も観ていただきたいです。音楽、SEなど音の要素も今までの作品でベストなものができました。長く愛していただけたら幸いです」と本作をアピールしていた。

『楽園追放- Expelled from Paradise-』は、水島監督と脚本の虚淵氏がタッグを組んだアニメーション映画で、虚淵氏が生み出した電脳世界を舞台とした未来像を、水島監督率いるチームが最新の3DCG技術でビジュアル化した大作。ナノハザードにより地球は廃墟と化し、人類の多くは地上を捨ててデータとなって電脳世界「ディーヴァ」で暮らす世界が舞台となる。物語では、電脳世界ディーヴァが地上世界から謎のハッキングに侵され、ハッキングの主・フロンティアセッターを調べるため、捜査官アンジェラは機動外骨格スーツ・アーハンを伴って荒廃した地上へ。案内人となる調査員ディンゴとともに謎に迫る旅に出る。また、劇場では劇場限定のBlu-rayが先行発売されている。

(C)東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ