2001年の当時13歳、ローティーン誌『ニコラ』のオーディションでグランプリを受賞し、芸能界デビューを飾った新垣結衣。2005年に同誌を卒業して以降、ドラマ、映画、CMなどで活躍を続け、主演を務めた映画『恋空』(2007年)で第31回日本アカデミー賞の新人俳優賞ほか数々の映画賞を受賞するなど、女優としてのキャリアを積み上げていった。
新垣にとって、転機となる映画『トワイライト ささらさや』が11月8日から公開をスタートした。これまで可憐な女性像を演じることが多かった新垣が、同作で挑むのは初の母親役となるサヤ。大泉洋が演じる夫・ユウタロウは生まれたばかりの息子・ユウスケと妻を残して先立ってしまうが、頼りないサヤを心配するあまり、周囲の人に乗り移ってはサヤの前に現れる。サヤは、ユウスケを跡継ぎにしようとする義父の目から逃れるために、片田舎の"ささら"に移り住み、仮の姿のユウタロウをはじめ、周囲の人々に支えられながら成長していく。この難役に、新垣はどのような思いで挑んだのか。また、彼女にとっての両親とは? メガホンをとった深川栄洋監督や原作者の加納朋子氏のコメントも交え、"女優・新垣結衣"の魅力を探る。
新垣本人に話を聞くと、語り口はいつものように穏やかで、終始淡々。苦労を覚悟で臨んだ撮影だったが、「出演した赤ちゃんたちがみんないい子で。よく笑って、泣いてほしいときに泣いて、泣きやんでほしい時に泣きやんでくれる(笑)。前半は思った以上に撮影がスムーズに進んで、みんなで『名演技!』と盛り上がっていました」と楽しげに当時を振り返る。それでも、撮影が進むにつれて赤ちゃんが泣いてしまうことも増えたようで、「私も抱っこしているので、泣いているけどそれに負けないようにセリフを言わなければならないんです」という今までにない経験も。「親戚に赤ちゃんがいて、小さい頃から抱っこしたりしていたので、その経験が生かされたと思います」と何気ない日々が、思わぬ形で実を結んだ。
ファンタジー要素が強い世界観だったことから、メガホンをとった深川監督はキャスト一人一人と対話し、キャラクター像の共有を図った。原作のサヤは気弱で頼りないイメージ。新垣はその監督との意見交換の場で、「サヤはもともと強い人」と自身が抱いたイメージをぶつけたという。「映画の中で周りの人々がこれだけ助けてくれるということは、サヤに魅力がないといけない」と読み解き、「母親として徐々に成長しながらも、"ささら"の街に移ることでそういう不幸をぬぐってもらって、もともと強いサヤへ後押しをしてもらっているのでは」と周囲の人々の存在が鍵だと判断した。
「監督にとって全然違うサヤだったと思います」と語る新垣だが、原作者の加納氏は「映画の方が強い女性です。あんな凛とした強さは、すてきだと思います」と絶賛し、「私の中で新垣さんは、ひたすら可憐な美少女のイメージだったんですが、今回は強い母親像を見せていただいて、意外な一面を見させていただきました。すごく、よかったと思います」とコメントを寄せている。