僕は彼女にとっての着せ替え人形だ。

服選びのセンスがない僕は昔からその時その時の彼女に服を選んでもらってます。自分で選んで後々あーだこーだセンスがないやらと言われてしまうよりかは、自ら"リカちゃん"の如く着せ替えされている方が傷つかなくていいーんです! くぅ~!

一緒に服屋さんに行って「はい、これ羽織って!」「この帽子かぶって!」「まず痩せろ」と次々着替えて見事な1人パリコレ。自分の中ではすっごく似合ってないなーこの派手な色よりもグレーが落ち着く……なんて思っていても彼女が満足げなら良し。楽しんでもらえたらなお良し。

その変わりに彼女の買い物にも黙ってついていく。コレキホン。そんな感じで気づいたらタンスの中がカラフルに。おかげさまで上下どう合わせたらいいのかもわからなく、自分でなんとなく着てみたら大失敗。柄on柄in柄。

さすがに任せっぱなしでいるのもなーと思い、自分でもファッション雑誌を読んでみようと本屋に行ってみるも、まずどの雑誌がいいのかがわからず。結局本屋さんについてきてもらい一緒に選んでもらうことに。かたじけない。

選んでもらった雑誌を見て勉強するも自分にはこんなオシャンティーな服が似合うのか。と半信半疑になる。けども、自分のチョイスで『お! 良いじゃん』と言ってもらいたくもある。

そして、ひっそり買い物に出掛けて、後日マイセルフなコーディネートで"ででーん"と登場してみるも『なんか変』の一言でノックアウト! 1ラウンド2秒KO。もう言葉出ないよね。雑誌の向こうのイケメンと同じ服装なんだぜ? ワイルドだろぅ? ねえ。

彼女も決してブランド物や高い服を着るわけじゃない。むしろ、雑誌を見てほしい形や色、種類を決めて安い店で近いものを買うようにしてる。そういう堅実な所が良いと思うし、気が楽。世間のトレンドアイテムやブランドというよりも自分らしく、自分らしさのある似合った服装をしてくれてたらいいと思う。

恐らく彼女も僕に背伸びした服を着せてるんじゃなくて、似合う服を選んでくれてるんじゃないかと。お尻がおっきい僕にスキニーパンツは薦めないし、顔が丸い僕に麦わら帽子は薦めない。そうゆうもんなのね。

ちょっと頑張ろうかと思ったけど、なんだかんだで選んでもらってる時間が楽しいからこれからも着せ替え人形のままでいっか。

<著者プロフィール>
吉本ユータヌキ
唐揚げと長澤まさみをこよなく愛す1986年製のたぬき型人間。ブログ『さっきもUたやん』を中心に文章を書いたり、イラストを描いたり、背中を掻いたり。フリーカイターです。重度の虚言癖と盛り癖をわずらっていますので優しく見守ってあげてください。Twitterでは日常が垣間見え過ぎています→@gonnakill_uta