「この"空港"ドラマで見たことある!」写真を見てそう思った方は少なくないだろう。だがこちらの場所、実は空港ではない。数多くの作品のロケ地となっている「テレコムセンタービル」(東京都江東区)だ。ロケに使われるようになった理由から展望台の眺めまで、同ビルの魅力を探してきた。

「企業創生ゾーン」に立地

テレコムセンタービルは東京テレポートセンターが運営するビル。ゆりかもめの「テレコムセンター」駅に直結しており、ビル内には、レストランや商業施設、展望台、貸し会議室、オフィスなどがある。立地しているのは、臨海副都心の中でも「企業創生ゾーン」と呼ばれる青海地区で、周囲には研究機関などが多い。

オフィスビルの印象が強い同ビルだが、実は『リッチマン・プアウーマン』(フジテレビ 2012年)など、数々のテレビドラマやCMのロケ地としても利用されている。

通称"テレコム空港"

同ビルの中でも特徴的なのが、1階から5階まで37mの高さを誇る吹き抜けのアトリウム。特に空港のシーンなどで利用されることが多いという。その理由を、東京テレポートセンターの担当者に伺ってみた。

テレコムセンタービルに直撃!

同ビルが竣工したのは1996年(平成8年)1月。当時から、同ビルは映像業界で「テレコム空港」と呼ばれていたという。空港に似ているという評判が口コミで広まったことが、ロケ地として広く使われるようになった経緯ではないかとのこと。そこで、実際にアトリウムを見学しながら"空港と似ている"理由を伺うことになった。

5階までの吹き抜けは壮観

理由の1つ目は、「ビルと周辺環境が空港に似ている」こと。実際に歩いてみると、アトリウムの吹き抜けは空港を連想させる。試しにいくつかの空港の内装写真を見たところ、吹き抜け構造とは限らずとも、天井が高い点は一致していた。白とグレーが中心の色合いも、空港に多い。むき出しの骨組みや、その間から差し込む光の具合も空港のような雰囲気をつくっているようだ。

むき出しの骨組み

周辺には高いビルがないため、窓の外に空が大きく映りやすいという特徴もある。アトリウム最上階の5階には景観を邪魔する柱もないため、開放感があった。

空から光が降り注ぐ

2つ目は、「実際に空港で撮影するのは大変」ということ。地方の空港では撮影ができることもあるものの、羽田空港や成田空港など東京から近い空港での撮影が難しいため同ビルが利用されるのではないかという。同ビルの場合、都心からも近いことから、撮影スケジュールが組みやすいのだろうと予想してくれた。

1階は空港の出発ロビーにも見えるという

展望台からは青海コンテナ埠頭が

しかし、同ビルの見所はアトリウムだけではない。21階にある展望台からの眺めが圧巻なのだ。レインボーブリッジやフジテレビが見える北側の景色はもちろん、東京ゲートブリッジから青海コンテナ埠頭、東京湾アクアラインまで、南側の景色も望める展望台となっている。

青海コンテナ埠頭を一望! コンテナがブロックのようだ

この景色は、同ビルが臨海副都心の展望台の中でも最南端に位置することから見られるという。夜景は、日本夜景遺産にも認定されているとのこと。展望台には「夜景レストラン&バー Precious Tokyo Bay」もあるため、夜景を楽しみながら食事をすることも可能だ。

東京ゲートブリッジ方面を望む

レインボーブリッジ側の景色

展望台の営業時間は、火~金が15時~21時、土日祝が11時~21時となっている。定休日は月曜日(祝日の場合は翌営業日)で、入場料は大人500円、子供300円(15名以上の団体は各100円引き)。

テレコムセンタービル外観(東京テレポートセンター提供)

ロケ地としてだけではなく、ふだんは見られない景色を楽しめる展望台も備えたテレコムセンタービル。アトリウムで"空港"気分を味わうのも良いが、展望台から臨海副都心と東京湾を見渡すと、いつもと違った東京の姿に出会えるかもしれない。