富士重工業は25日、スバルの新型「WRX S4」「WRX STI」を発表した。スポーティな走行を得意としながらも、市街地での走行など普段使いにも適したスポーティセダン「WRX S4」と、世界屈指のハイパワーとハンドリング性能を持つピュアスポーツマシン「WRX STI」の2種類をラインナップ。いずれもボディタイプは4ドアセダンだ。

さまざまなスポーツドライビングに対応できる新型「WRX S4」

サーキットなど限界性能への挑戦に最適な新型「WRX STI」

これに先立ち、7月末から8月にかけて、富士スピードウェイ(静岡県小山町)で事前試乗会も開催された。一般道を想定した外周路と、サーキット走行を想定した国際レーシングコースでの試乗が行われている。

新型「WRX S4」は、「Sports performance」「Safety performance」「Smart driving」「Sophisticated feel」の4つの「S」の意味を込めたネーミングで、走行性能と環境性能、上質なデザインや質感が特徴だ。エンジンは新開発となる2リットル水平対向直噴ターボエンジン「DIT」を搭載。最高出力は300ps/5,600rpm、最大トルクは40.8kg-m/2,000-4,800rpmに達するハイパワーエンジンだ。

ミッションには、スポーツカーとしては珍しく、「スポーツリニアトロニック」と命名されたCVTを採用。8速に切り分けられたマニュアルモードも搭載しており、この場合はギア比の間隔が短いクロスミッションとなっている。シフトレバーと手元のパドルシフトでアップダウン操作が可能だ。

新型「WRX S4」。スポーツカーではあまり見られないCVTを採用。4ドアセダンとしての使い勝手も考慮されたパッケージングに

新型「WRX STI」では、旧モデルと同様、ハイパワーターボエンジン「EJ20」を引き続き搭載。加速レスポンスをさらに向上させるなどのチューンアップが施されている。最高出力は308ps/6,400rpm、最大トルクは43.0kg-m/4,400rpmに達し、ミッションはSTI専用の6MTが使用される。

旧モデルに比べて大きく変革されたのが、ボディとシャシー性能の向上。車体のねじり剛性係数は、従来型の「WRX STI」と比べて40%以上、曲げ剛性係数は30%以上向上している。床下部材の補強や軽量化、重心高の引き下げ、空力性能の向上なども施されており、剛性の高さは、乗り比べればその差がすぐに実感できるレベルだ。

よりスポーティな環境に向けて設計された新型「WRX STI」。室内も黒地に赤の精悍な雰囲気に仕上げられた

フロント / リアのサスペンションも剛性を強化。今回もビルシュタイン製ダンパーを採用したグレードが、「WRX S4」「WRX STI」それぞれに設定されている。タイヤもダンロップがそれぞれ専用タイヤを新開発。駆動方式は両モデルともスバル伝統のAWDだが、新型「WRX STI」はセンターデフに機械式と電子制御式の2つのLSDを内蔵した、マルチモードDCCDシステムを採用している。

安全装備としては、スバルの象徴的技術となった運転支援システム「EyeSight」のver.3を搭載。ステレオカメラで先行車や歩行者などを認識し、危険なときには衝突回避を行う。追従機能付きのクルーズコントロールやレーンキープなども装備される。

衝突回避装置「EyeSight」などの安全装備も搭載している

新型「WRX S4」は、「2.0GT EyeSight」(車両本体価格334万8,000円)と「2.0GT-S EyeSight」(同356万4,000円)のラインナップで、後者にはビルシュタイン製ダンパーとトランクリップスポイラー、18インチのアルミホイール、アルカンターラと本革のシートが追加装備される。新型「WRX STI」は、「STI」(同379万800円)と「STI Type S」(同411万4,800円)のラインナップで、こちらは後者にビルシュタイン製ダンパーとBBS製の鍛造18インチアルミホイール、大型のリアスポイラーが装着される。