映画化にあたっての要望は?

――『僕と23人の奴隷』はかなりの長編作品ですが、それが映画になると聞いたとき、どのようになると思っていましたか?

岡田氏「全員というのは無理だと思っていたので、最初は10人ぐらい出てくれれば万々歳という気持ちでした。でも、予め台本を読ませていただいたところ、23人の登場人物がしっかりと書かれていて、長編作品の中からキモになる部分がうまく取り出されていたので、正直、圧倒されました」

――映画化にあたって岡田さんからの要望などはあったのでしょうか?

岡田氏「とにかくスパイスの効いた、振り切った内容にしてください、とお伝えしました。あとはもう自由に、美味しく料理していただければいいなという気持ちでした」

――特に注文をつけることはなかったのですか?

岡田氏「台本を読ませていただいたときなどに、自分でも良くする方向で何か提案できる余地があると思ったところがあれば、あくまでも"ご参考までに"という感じでお話はさせていただきましたが、特に注文するということはなかったです。ただ、映画で主人公になる2人に姉弟という設定が新たに加わっていたことについては、少しやりとりをさせていただきました。僕自身は、そうする必要があるのかなって思わないこともなかったのですが、佐藤監督や脚本の方からしっかりとした意見が返ってきたので、最後は安心してお任せるというカタチで落ち着きました。結果としてはとても満足できる内容になったと思います」

――撮影中、現場に足を運んだりはなさったのですか?

岡田氏「撮影現場が家から車で30分くらいのところだったので、週に一回くらいは差し入れを持って遊びに行きました」

――実際の現場はいかがでしたか?

岡田氏「すごい緊張感でした。現場のすごく緊迫した感じを見て、自分は一生役者にはなれないなって思いました(笑)」

――実際に出来上がった映像を観たときの感想はいかがでしたか?

岡田氏「素直に感動しました。あれだけ長い作品が100分強の映像作品にまとめていただいたのが本当にすごいなって。作り手として尊敬の念を抱くとともに、映像ならではの迫力に圧倒されました。痛々しいシーンなどは本当に迫力があって、女性の方の悲鳴なんかすごくリアルですよね。自分の作品なのに少しビビッちゃいました(笑)」

多彩なキャラクターが登場

――原作の話に戻りますが、あれだけの特徴的なキャラクターを動かしていくのはかなり大変だったのではないですか?

岡田氏「執筆当時は、エクセルで時系列と相関図を作って、いろいろと調整しながら進めていきました。相関図も複雑ですが、特に時系列をあわせていくのが大変でした」

――途中で心が折れたりはしませんでしたか?

岡田氏「2回くらい折れました(笑)。内容的なことではなく、僕の表現が不味くて強制非公開になったこともありましたし、退社したことに影響されることもありました。ただ辛いときほど楽しいキャラを作ろうと思っていて、原作に板橋ゲッコウというキャラが出てくるんですけど、彼はそんな辛いときに出来上がったキャラなので、すごく印象に残っています」