危険な航空会社が一目で分かる

サービスと並んで気になるのが安全性だろう。航空機メーカーや航空業界全体の尽力もあって、かつて運航100万回につき1度だった航空機事故(人身事故)は、ここ10年ほどで約300万回に1度程度まで減っている。それでも"ゼロ"ではないので、危険な航空会社を避けて心配なく海外渡航を楽しみたいという人にオススメなのが、EUが発表している「ブラックリスト」だ。

最近は共同運航便が多く実際に運航している。実際に運航している航空会社を知りたいなら時刻表をチェックしよう

ここで名指しされた航空会社は、EU域内への乗り入れおよび飛行を禁じられている。もちろんこれはEUの基準であるが、リストを見ると過去に事故を起こした国の航空会社がずらりと並んでいる。

基準は航空会社の国籍

航空会社の安全性を考える上で基準となるのが国籍だ。理由は、国際民間航空機関(ICAO)などが航空安全の基準を設けてはいるものの、安全性への取り組みに対して国による差があるのはれっきとした事実だ。日本国内線の整備基準の厳格さに音をあげて撤退した外資系航空会社もある。

ただ日本の場合、国際線は国内線と事情が異なる。EUのように独自に基準を設けているわけではなく、以前は「ブラックリスト」に掲載されていたインドネシアやフィリピンの航空会社も日本に乗り入れている。つまり、航空会社の安全性を見極める基準は、その航空会社の国籍によるところが大きいのだ。

2014年4月時点の「ブラックリスト」を見ると、コンゴやカザフスタン、ザンビアなどアフリカや中東の航空会社が並ぶが、気になるのはインドネシアとフィリピンの航空会社が多数リストアップされていること。中には日本就航を検討している航空会社もある。日本およびアジアにはEUのように安全性を審査する機関はないので、新しい航空会社が就航したら、この「ブラックリスト」をチェックするのもいいだろう。

航空会社のレベルを星で評価

日本でもおなじみのジェットスターやエアアジアはLCCの中では評価が高い

前述した「スカイトラックス」は、その航空会社がどれくらいのレベルにあるかを知るのにとても役立つ。航空会社を星の数で評価しており、エイビーロードの「エアラインランキング2014」で1位だったシンガポール航空と2位だったANAはいずれも最高評価の5つ星。逆に、EUの「ブラックリスト」に名前があったライオンエア(フィリピン)とスーダン航空(スーダン)はいずれも評価の低い2つ星だ。ちなみに、北朝鮮の「高麗航空」は最低評価の1つ星である。英語のみのサイトだが、トップページの「A-Z Airline」をクリックすると各社の星数が見られる。

また、LCCは安全性というよりもサービス評価が悪くて星が2つしかない場合がある。アイルランド国籍の有名なLCCであるライアンエアーもそのひとつだ。LCCの中で評価の高い航空会社を知りたいなら「スカイトラックス」が毎年発表している「ローコスト・エアライン・オブ・ザ・イヤー」が目安になるだろう。

筆者プロフィール : 緒方信一郎

航空・旅行ジャーナリスト。旅行業界誌・旅行雑誌の記者・編集者として活動し独立。25年以上にわたり航空・旅行をテーマに雑誌や新聞、テレビ、ラジオ、インターネットなど様々なメディアで執筆・コメント・解説を行う。著書に『業界のプロが本音で教える 絶対トクする!海外旅行の新常識』など。