LDKの思想

後半には、住環境の話題も登場。宇野氏は戦後の「アメリカ的なライフスタイルに追いつきたい」という考えは、(住宅の)LDKと密接に結びついているのではと指摘した。自らの引っ越し経験談を引き出し、「リビングがいらない」と一言。仕事場、寝室、ダイニングがあれば良いが、どの物件を探してもリビングが一番広くて日当たりが良かったというエピソードを紹介した。

宇野氏「リビングにいるときにみんな何をやってるかというと、本読んでるとかテレビ見てるとかみかんつまんでるとかですよね。大きめの寝室にちょっとテーブルとテレビ置いといたらできるじゃないですか。だからリビングってわりと、核家族とそこを中心にした一家の団らんみたいなものを前提としているんです」

LDKについての話は、人を招き入れるスペースやシェアハウスの話題にまで広がった。宇野氏は「LDKのような自明と思っているようなものも、ここまでライフスタイルが変わるとアップデートするって可能性も考えた方が良いのでは」と締めくくった。

これからの文化はどう生まれる?

最後は、これからの文化の生み出され方をそれぞれが語る展開に。

佐々木氏は、「どこかで生まれた文化がパブリッシュされて、広がっていくという相乗効果によってどんどん文化が拡大し、一つの大きな文化圏を形成してくようなモデルは今後出てくるのではないか」とコメント。「Web1.0があって2.0があって……、第3段階くらいで新しい文化生成のフェーズに来ている感じはちょっとします」とまとめた。

粟飯原氏は、「ライフスタイルの中で今まで見えなかった家の中や家事をしているところがソーシャルで外に見えるようになってきて、自分に近しいものが降りてきているというのが、すごく面白い」と感じているとし、クローズドなものが開かれていくときの、「そこから生まれてくるバリエーションを知ることでの文化」について可能性を見いだした。

古川氏は、「現実は絶対にインターネットに負けると思っていて、技術の進化がそこに追いつく瞬間があるとなったときに、『インターネットから文化が……』とか、『文化が新しく変わる』っていう節目がそこかな」と示唆し、あと10年くらいでインターネットが現実を超えたときに新しい文化が生まれるのではと発言した。

小澤氏は、「100年後の教科書に現代が載るとしたら」とテーマを設定し、「インターネット文化」であるとした。「この時代を象徴した物ってインターネットなんですよ、多分。大衆がこんなに情報発信をできること自体が今までと一番違うことで、これはすごく大きな文化だと僕は思っていて」とした上で、インターネットと承認欲求の関係についても言及。承認欲求を得られるバリエーションがインターネットで増えた一方、子育てや趣味で飼育しているグッピーを通して、「承認欲求がないとこでも人間って楽しく過ごせるんだ」と気付いたという。

宇野氏は最後に、今回のイベントで粟飯原氏を呼んだ理由に触れた。「みんなインターネットで物が安くなる・効率的になるってことと承認欲求のことしか考えていなかったんだけど、粟飯原さんのやるサービスは僕らの24時間の使い方が変わるとか、僕らの生活習慣に介入するとか、そういうことに関わるところが面白い」とコメント。「インターネットの結果、根本的に朝の時間の使い方が変わるとか、家事をするスタイルと時間が変わるとか、そういった配分が変わっていくとはあまり思っていなかったんじゃないかな、と僕は思っているんですね。ここがインターネット+生活というのに今注目している理由だったりするんですよ」と締めくくった。

第二回は7月開催

最後は会場からの質疑応答も行われ、会場は充実した雰囲気に包まれていた。「Hikarie+PLANETS」のトークセッション第二回は「東京2020ーー僕たちがつくりあげるもう一つのビッグプロジェクト」をテーマに7月10日に行われる。詳細は同イベントWebサイトで確認できる。