厚生労働省は28日、自営業者などが加入し、市町村が運営する国民健康保険の財政状況(速報)について、2012年度の実質収支が3,055億円の赤字になったと発表した。赤字幅は前年度より33億円増加し、2年ぶりに拡大した。

収入は前年度比3.2%増の14兆1,575億円。このうち、保険料は同0.7%増の3兆634億円で、調定額が増加したことと収納率の上昇が増加につながったと見られる。前期高齢者交付金は同8.9%増の3兆2,189億円だった。

都道府県支出金は前年度比18.0%増の1兆570億円、国庫支出金は同4.6%減の3兆2,755億円。2012年4月に成立した国民健康保険法の一部を改正する法律により、2012年度から都道府県調整交付金が医療給付費等の7%から9%に、定率国庫負担が34%から32%に変更されたことなどが反映された。

支出は前年度比3.1%増の13兆8,958億円。このうち、保険給付費は同1.5%増の9兆2,149億円、後期高齢者支援金は同9.6%増の1兆7,442億円、介護納付金は同7.6%増の7,407億円となった。

収支差引合計額は2,617億円。単年度収入13億7,761億円から単年度支出13兆7,188億円を控除した単年度収支差引額は573億円で、これに国庫支出金精算額等(94億円の赤字)を考慮した精算後単年度収支差引額は479億円となった。赤字補填などのための繰入金3,534億円を除いた精算後単年度収支差引額は3,055億円の赤字で、赤字幅は前年度より33億円増加した。

全国1,717の市町村国保のうち、収支が赤字だったのは前年度比1.2%増の819保険者となり、赤字保険者の割合は約半数の47.7%に上った。

単年度収支差黒字・赤字保険者の状況(市町村)(出典:厚生労働省Webサイト)

被保険者数は前年度比54万人減の3,466万人。内訳は、退職被保険者等が同16万人減の193万人、その他が同38万人減の3,273万人となった。

国民健康保険料の収納率は前年度比0.47ポイント上昇の89.86%。保険者規模別に見ると、市部平均は89.49%、町村部平均は93.46%と、ともに前年度から0.48%ポイント上昇するなど、全ての規模で上昇していた。

2013年6月1日現在、保険料の滞納がある世帯数は前年比16.8万世帯減の372.2万世帯。市町村国保の全世帯に占める滞納世帯の割合は同0.7%減の18.1%となった。なお、短期被保険者証交付世帯は同7.1万世帯減の117万世帯、資格証明書交付世帯は同1.4万世帯減の27.7万世帯と、ともに減少した。