カーテンというかシャワーというか、光が地上に突き刺さるよう

「いつかその目で見てみたい!」と思った写真のひとつに、オーロラを挙げる人も多いだろう。筆者もそのひとりである。そこで今回、北欧・ノルウェーにて、オーロラ5番(5夜)勝負に挑むことにした。

オーロラには条件がある

先に結論を言ってしまうと、この5番勝負の当たり日は初日に訪れることになった。ノルウェーのオーロラ観測の拠点として知られるトロムソへ22時前に到着し、様子見に夜の街を歩いていた時である。オーロラが見られる条件として、「街の明かりなど光の干渉がないところ」「晴れていること」「太陽の活動が活発なこと」などが挙げられるが、トロムソは街中でも観測することができるのだ。

オーロラは、太陽から飛来する太陽風(プラズマ)が大気中にある原子に衝突して発生し、大気圏内のどこで衝突したかで色が変わってくる。グリーンのほかに、肉眼では見えにくいがレッドのオーロラもあり、ノルウェー在住のオーロラハンターに伺ったところ、パープル、特にブルーは珍しいという。

光が放射状に広がるコロナ。あっという間に姿を変えてしまった

オーロラにも手が届く!?

また、その形状も様々だ。上下方向に走るヒダ状のオーロラカーテン、光が放射状に広がるコロナ、「空が破れる=ブレイクアップ」と表現され、空一面が光に包まれる爆発などがある。今回、ブレイクアップには遭遇できなかったが、オーロラは一時でも定まらないので、撮影してみるとちょっと興味深い形になっていることもある。

「アラジン」で言うなら「ランプの魔人」のよう

子供なら「おばけ」に見えるかもしれない

偶然だが、ちょっと鳥のように見えないだろうか

オーロラが次第に大きくなる様子は、“育つ”という表現がよく合う。「このオーロラ、育ちそうだな」と見ていると、見る見る間に形を変え、空を縦横無尽に広がっていく。頭上を通過して伸びていく姿を見ていると、手でつかめるんじゃないかという気持ちにさへさせられた。

結局この日、2時間以上オーロラが出ていた。しかし、これ以上大きなオーロラは出ないだろうと踏み、「キリがないから引き上げよう」という言葉とともに観測を終えることにした。それから、オーロラを見に来たとトロムソで話すと、「あの日のオーロラはすごかった!」と地元の方に言われることに。撮影の心構えができていれば、もっといい写真が撮れていたかも……と思いもするが、オーロラはその時を待ってはくれない。