新しいロゴマークが入ったエアバスA330-300型機

12月11日、国内主要路線を運航するスカイマークが、フランス・トゥールーズにあるエアバス社で新しい飛行機を公開した。速報版は既報の通りだが、今回は新機材とサービスを詳しく紹介してみたい。そこには、同社の新しい戦略も見えてくる。

全席プレミアムのゆったりした機内

広大なエアバス社の敷地内を報道陣用のバスに乗って移動していると、遠くにそれらしき機体が見えてきた。スカイマークのロゴがペイントされたエアバスA330-300型機である。よく見るとロゴマークが変わっている。「ロゴマークも新しくしました」と、新しいサービスと戦略をスタートさせるために、企業のロゴマークも一新。スカイマークが新しいエアラインに生まれ変わろうとしている決意だろう。

タラップを上がって機内に入ると、今までのスカイマーク機とは全く違うインテリアに仕上がっていた。スカイマークは04年に使用機材をボーイング737-800型機に統一した。737-800は通路1本のナロウボディ機であり、客室の幅は約3.5m。同社の場合、全席が普通席の177席を設置。シートピッチは低コスト航空会社(LCC)に比べ圧倒的に広く、ANAやJALと同レベルだ。

これに対し、新しく導入するA330-300型機は2通路のワイドボディ機で、客室幅は約5.3m。通常は普通席と上級席を合わせて約330席が設置されるが、スカイマークのA330-300には普通席はなく全席プレミアムエコノミー。席数は271。席数の少ない機内は見た目に余裕があり、ゆったりしている。

客室幅が1.5倍ある旅客機になっても、座席の横列は737-800の6席から7席と1席しか増えていないのだから、そう感じるのも当たり前だ。いや、全席がプレミアム席なのだから、従来のスカイマーク機と比較すること自体がナンセンス。この機材で運航される便は、「新しいスカイマーク・ブランド」となるのだろう。

「グリーンシート」のシートピッチ(前後間隔)38インチ(約96.5cm)、幅19.3インチ(約49cm)、リクライニング角度8度(垂直の状態から。あらかじめ3度の傾斜)。全271席。ヘッドレスト、フットレスト、テーブル、コンセントを装備

広さはJAL「クラスJ」同等の布製シート

そのプレミアムエコノミーの座席は、シートピッチ(座席の前後間隔)が38インチ(約96.5cm)、幅が31インチ(約49cm)。JALの「クラスJ」とほぼ同じ広さである。隣席との間にある肘掛け(アームレスト)は、国際線のビジネスクラスなどで使われる幅広なタイプ。ゆったりしたリクライニングが可能な背もたれは、アップライトポジション(背もたれを倒さない状態)でも3度後ろに傾けてある。これは「離発着時でもくつろげる工夫」(同社)である。

シートカバーは布席で、「グリーンシート」の愛称の通りの緑色。見た目も触り心地も温かみがある。LCCが採用している革張りのシートは見た目には高級感があるが、実は掃除や手入れに手間がかからない“低コストシート”。スカイマークでは今回、「快適に過ごせるよう、あえてコストのかかる布製を採用した」(西久保愼一・同社取締役社長)。

布製シートは革製に比べは身体が滑らず落ち着く。ゆったりくつろげるアームレストで、隣の乗客との肘を置く場所を探り合う必要もない