トマトの名産地、北本市の「トマトカレー」とは一体どんなカレーなのか?

2011年に突如登場し、「第9回埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」で優勝した北本市の「北本トマトカレー」。2013年の「横須賀カレーフェスティバル」のご当地カレーグランプリでも準優勝に輝いた。今ノリにノッているご当地カレーといっていい。そんな「北本トマトカレー」を現地で取材した!

米もルーもトッピングもトマト!

「北本トマトカレーの定義は3つあるんです」。そうと教えてくれたのは「あさひ庵」スタッフの谷口優子さん。それはなかなか凄みのある「縛り」である。

1)ライスをトマトで赤くすること
2)ルーにトマトを使用すること
3)トッピングにトマトを使用すること

トマト尽くしの3つだ。しかしなぜトマトなのか? それは他でもない北本市がトマトの特産地だからだ。このエリアのトマトのおいしさは全国に知れ渡り、上質な甘さで知られている。この地元の武器トマトを使ったご当地グルメの開発も自然の流れだった。

それにしても、この3つの定義をきちんと読むと、実はライスもルーもトッピングも全てトマトを使うという究極の「トマト縛り」である。しかしその徹底したイメージこそ、各地のコンテストで評価を得ている理由なのかもしれない。

ハンバーグに丸ごとトマトを閉じ込める

「あさひ庵」が提供する「北本トマトカレー」(600円)は、この定義をどうクリアしているのだろうか。「当店ではまずオーダーを受けてからバターライスを炒め、ザク切りしたトマトを入れてトマトご飯を作ります。また、トッピングのハンバーグにもプチトマトを丸ごと入れているんです」とのことだ。

もちろんルーにもトマトを使用し、全体的に淡い赤色をしている。食べてみるとライスもルーもトマトの甘みと酸味がほどよく利いておいしい。バターライスはボリューム感があり、トマトカレーと絶妙な相性だ。「お子様もおいしく召し上がれますよ」と谷口さん。確かにファミリー向けの味。だからコンテストでも女性や子供の票が入るのかもし知れない。

「あさひ庵」の「北本トマトカレー」は600円

●infomation
あさひ庵
埼玉県北本市北本4-185

トマト飯はインディカ米、ナンにもトマトピューレ

しかし、筆者のそんな印象を打ち砕いたのは、次に訪れた「インド料理&アジアン居酒屋 ヘブン」の「北本トマトカレー」(700円)だった。ここは名前も分かる通り本格的なインド料理、つまり、エスニックが食べられる店である。

ここではトマトご飯は日本米ではなくインディカ米を使い、ナンにはトマトピューレを振り込んで、じっくりと焼き上げている。そしてカレーはトマトベースのキーマカレーだ。トッピングはトマトサラダ。これでもかというぐらいトマト尽くしという部分では、北本トマトカレーの定義を十分に満たしている。

意外なことにこのインディカ米、さらっとしていてキーマカレーのしっとり感とマッチしている。本場の味と地元の名産品とのコラボレーションはかなり大人な味。「辛さは甘口から激辛まで、どのようにも調整できますよ」と言うのはシェフのクリスナ・ドゥンガナさん。激辛のトマトカレーとはしゃれているが、この一品が「北本トマトカレー」の範囲に入るのだから、実に幅広い。

「ヘブン」ではエスニックムード満点の「北本トマトカレー」(700円)が楽しめる

●infomation
インド料理&アジアン居酒屋 ヘブン
埼玉県北本市中央1-61アーバンST101

オリジナルレシピを忠実に再現

最後は、和食分野からのアプローチを紹介しよう。「水織(みおり)うどん」で提供されるカレーは、北本トマトカレーのオリジナルレシピにかなり忠実に作られたもの。「ご飯は生のトマトを入れてそのまま炊き上げます。ただそれだけだと赤い色がつかないので、ピューレも混ぜています」とスタッフの我孫子真由美さん。

ルーはトマトとひき肉がたっぷり入っていて、いわばミートソースというような印象だ。そしてトッピングは国産豚を使ったトマト肉揚げ巻きでこれは子供に人気だという。「お子様が食べることを想定して辛さはかなり抑えています。でも辛い味が好きな人のためにスパイスもお付けしていますよ。」と我孫子さん。

単品では630円だがミニうどんとのセットは730円。個人的にはカレーに汁モノがあるのはうれしい。しかも「うどんは温と冷の両方が選べます」というからこれはお得だ。

「水織うどん」では、うどんとのセットで730円である

●infomation
水織うどん
北本市本宿4-33-3

店ごとに個性はあるが総じて言えるのは、ターゲット層や世代に偏りはなく、家族みんながおいしく食べられるのが「北本トマトカレー」だということ。ファミリーの外食にご当地グルメを食べたいなら、是非北本市の「北本トマトカレー」を味わってみてほしい!