仕事では成功したけれど……自分の半生を振り返って後悔する未婚女性も多い

第一子出生時の平均年齢が2011年には30歳を超え、高齢出産や不妊治療といったキーワードをテレビや雑誌などで度々目にする。一方で、結婚をしない道を選び、出産経験がない女性も少なくない。ここでは出産しなかった女性と出産した女性の意見を紹介、それぞれの現状を知る。

仕事を優先して管理職に

51歳で大手企業の管理職として働くA子さんは未婚。入社以来、「男に負けたくない」の一心で馬車馬のように働き、その甲斐あって会社では数少ない女性管理職として活躍している。部下には20代、30代の男性が多く、彼らを見ていて最近自分の人生を後悔しだしたという。

「私が若い頃って、プライベートより仕事優先。でも今の若い人は、男性でも『子供が待ってるんで』と言って残業もせずにサクッと帰ってしまう。『私が若い頃は……』と言っても『僕は家族優先です』と返され、私がやってきたことってなんだったんだろうと時々寂しくなる」。

頑張らなかった自分を悔やむ

また、48歳で会社を経営するB子さん(未婚)も、部下を見ていて心がかき乱れた瞬間があったという。

「結婚を先送りにして仕事を優先していたら、彼氏に振られてしまった。それでも、念願だった会社を立ち上げたから後悔はないと思っていました。そんな時、部下が妊娠したんです。彼女は42歳で結婚して、でも年齢的に子供は諦めているんだろうなと思っていたら、あっさり妊娠。私なんて、40歳になった頃には子供をあきらめて、だから結婚ももういいかなーと思っていたのに。諦めずに頑張り続けた彼女を見て、自分の選んだ道を初めて悔いました」。

同じく48歳のC子さんは、結婚したものの子供はいない。「夫が10歳年上だったこともあって、なかなか子供ができないのは夫のせいだと決めつけて、不妊治療をしなかったのが悔やまれる。若いママやギャルママを白い目で見る人もいるけれど、子供を産んだ分私なんかより彼女たちのほうが偉いと思う」といい、「子育てを経験した女性ってすごいと単純に思う」とも付け加えてくれた。

子供も人がうらやむキャリアも手に入れたが……

一方、B子さんC子さんと同じ40代で15歳の子供を持つD子さん(45歳)はこう考える。「管理職になる直前での妊娠発覚。とにかくすぐに職場に戻りたくて、産休明けで復帰しました。結果、管理職にもなったし、子供も健康に育っていますが、産後2カ月ほどで保育園に入れてしまい、子供には寂しい思いをさせてしまった。今でも子供には申し訳ない気持ちでいっぱい」。

二児の母で、現在専業主婦のE子さん(34歳)は、「寿退社をして、結婚後すぐに子供が生まれたので社会人経験が数年しかありません。夫は高給取りなので働く必要はないのですが、夫婦げんかをしたり夫の嫌な面を見たりしても、経済力がないので『別れる! 』と言えない自分にもどかしさを感じる」と専業主婦で子供がいる女性ならではの悩みも打ち明けてくれた。

A子さんもB子さんも仕事で成功し、社会的なステータスを手に入れた。D子さんとE子さんも子宝に恵まれ、一方向から見ると幸せそうに見えるが、逆サイドから見るとそれぞれに悩みを持っているようだ。

結婚3年目の会社員のF子さん(28歳)は、子どもを切望するあまり、夫婦関係がぎくしゃくし出したという。F子さんは、その日の朝に出張を命令されて海外に行くこともあるほど多忙な部署で働いていたが、結婚を機に子供を真剣に考えるようになり、子育てがしやすいよう残業がない部署に異動した。「すぐに子供が産まれると思って異動したのに、2年たっても妊娠しない。不妊治療をしようと主人に相談したが、前向きに考えてくれなくて……。なぜ真剣に問題解決しないのかと不満を持つようになり、最近では夫婦関係も微妙な感じに」。

弊誌人気連載「理系のための恋愛論」著者で恋愛・結婚評論家の酒井冬雪先生は、現代女性特有の思考について指摘する。「結婚・出産は、男女問わず誰もが少なからず悩み考える問題です。とはいえ、結婚も出産も1人でできることではありません。自分1人であれこれ考えてもどうにもならないもので、すべて自分の思い通りや予定通りというわけにはいかないという大前提があるのです」。

「しかし、現代社会を生きる女性たちは、自分で計画をして努力をしてなりたい自分を手に入れてきたので、何事も頑張って努力して予定をこなしていけば大丈夫、大抵のことはかなうと思ってしまう傾向があります。その点、結婚、特に出産は、死と同じように思い通りにいかないことの1つかもしれません。予定をこなし、願いをかなえる強さや賢さは素敵ですが、時に自然の成り行きに身を任せるしかないこともあるかも、と心の片隅で思っておいてほしいものです」。