海を渡り山を越える25分間は景色も圧巻で飽きさせない

アジアで一番長いゴンドラが、香港にあることをご存知だろうか。それも、緑あふれる大自然の真上を歩くようなスリルが、このアジア最長のゴンドラで味わうことができるのだとか。これは体験せずにはいられない!?

世界初・床全面がガラス張り

麓駅から空の旅スタート。こちらはスタンダードキャビン

このゴンドラ、正式には「ゴンピン360°ケーブルカー」と言い、香港ランタオ島の東涌(トンチョン)から昂坪(ゴンピン)までを結んでいる。香港の空港から市内に向かう途中、右手に見えてくるゴンドラがそれだ。乗車距離5.7km所要時間25分。ちなみに、日本最長の通称「ドラゴンドラ(苗場 - 田代ゴンドラ)」は5.481kmとなっている。

「日本最長とちょっとしか違わないじゃないか」と思われた方、注目していただきたいのがそのゴンドラの姿である。“クリスタルキャビン”と言って、上下左右すべてが透明ガラスでできた、アトラクション好きにはたまらない車両なのだ。ちなみに、床全面が1枚ガラスでできたゴンドラは世界初なのだそう。ただし、クリスタルキャビンは109基中36基のみ。スタンダードキャビンより乗車料金も高くなるが、時間とお金に余裕があれば、予約してでも乗ってみる価値はありそうだ。

そのスリルさに身体がムズムズ

だが、先に言っておきたい。「運よく乗れた!」と思うか、「本当に運が良かったのか……」と思うかはその人次第である。最初は下のレールが見えるだけなのだが、レールから外れた瞬間“ふわっ”と車両はしないのだが、気持ちが“ふわっ”となり、車内は歓声と小さな悲鳴に包まれる。

乗り口の麓駅を出るとまずは道路の上なので、下に見える車がミニカーに思えてくる。これがまたリアルに高さを感じて、背筋というかお尻というか、何だか身体がムズムズしてくるのだ。

168m×160cmの床ガラスを使用。大人10人乗ってもゆったりできるスペースだ(厚さ4.84cm、耐久重量:2,250kg)

少しすると海の上を渡り始めるのだが、先ほどの地上より高度が上がり(30mくらいだろうか)、まさに空中に浮いてるような感じだ。車内は10人乗りで、自由に歩ける広さがある。が、ちょっと動くと床のガラスが割れて海に落ちてしまうのではないかという不安も襲ってくる。怖くなったら外を見渡そう。もちろん下ばかり見るのがこのゴンドラの魅力ではない。そもそも周りの景色がすばらしいのである。

右手には青い海、左手には1,000m級の山

右手には空港島に浮かぶ香港国際空港から飛び立つ飛行機が見え、左手には北大嶼郊野公園(Lantau North Country Park)の山並みや、天気がよければ南シナ海も見渡せる。また、眼下に目を戻せば、地元の漁師が釣りをしている姿も見つけることができるのだ。

一度乗ったら途中で下車はできないが、接続駅で方向転換した後は一気に高度を上げて、標高520mのゴンピンビレッジまでひたすら北大嶼郊野公園を上空散歩。公園内のハイキングトレイルや、背の高い木は足元すぐ近くに見え、ブロッコリーのように見える木々など豊かな植生が手に取るようだ。

標高751mの弥勒山など、ハイキングでも人気の山を越えて行く

思えば、真上から木を見下ろすことなどそうないだろう。鳥になった気分で貴重な経験を味わえる。小さな滝なども眼下に納めながら山を登り、遠くに大仏様が見えてくるともうすぐ終点。ちなみに山頂駅手前では、テーマパークでよくあるような乗車中の記念写真ポイントが設けられているので、最後までいい笑顔を残しておこう。

●information
ゴンピン360°ケーブルカー(Ngong Ping 360)
運行時間10:00-18:00、土日9:00-18:30
スタンダードキャビン 片道:大人94香港ドル(約1,200円)、子供48香港ドル(約610円)
クリスタルキャビン 片道:大人149香港ドル(約1,910円)、子供103香港ドル(約1,320円)
※スタンダードは10人座席と7人席なしで17人乗り
※チケットはwebサイトで予約可能。オトクな往復チケットもある
※天候などにより運行スケジュールの変更・停止などもあるので、事前に確認を