KAORU氏

猛暑の夏。水分の多い夏野菜には体を冷やしてくれる働きもあり、夏の健康維持のためにもおいしくたっぷりと頂きたいものです。でも、問題はその保存法。冷蔵庫の中で腐らせてしまったという経験は誰もがあるのではないでしょうか。野菜ソムリエKAORUさんに、夏野菜との上手な付き合い方を教えていただきました。

トマトまで!? 目から鱗の夏野菜の冷凍保存

――まずは新鮮な野菜の見分け方を教えていただけますか?

「新鮮な野菜にはハリとツヤがあります。店頭に並ぶ野菜にハリとツヤがあるかどうかをしっかりと見てください。キュウリ、ナス、トマト、ピーマンなどの夏野菜は水分をたっぷり含んだ野菜なので、ずっしりとした重さを感じられるかどうかもポイントです。

秋冬の芋類などは時間を置いた方がおいしくなったりしますが、夏野菜は鮮度が命。新鮮なほどおいしいし栄養価も高いので、鮮度にはこだわってください。

――新鮮な野菜を買うならやはり八百屋さんがよいのでしょうか?

「八百屋さん、スーパー、コンビニと野菜はいろんなお店で買えますが、八百屋さんが新鮮でコンビニはダメとかは一概に言えません。お客さんでにぎわっている、つまり商品の回転のよいお店ほど野菜も新鮮と考えてよいかもしれません」

――新鮮な野菜を手に入れても、冷蔵庫でしなびさせたり腐らせたりしがちです。保存法のポイントはありますか?

「冷蔵庫内の温度を下げすぎるのはあまりよくありません。夏野菜は暑い環境に慣れているので、温度を下げすぎると低温障害を起こして品質低下をまねきます。ラップや新聞紙で包んだり鮮度保存袋に入れたりして、適温の野菜室で保存というのが基本です。

冷凍庫を上手に活用することもおすすめです。結構たくさんの野菜が冷凍保存可能。私が実践している野菜の冷凍保存をいくつかご紹介してみましょう。

まず葉野菜ですが、ホウレン草は固ゆでしてラップに包んで冷凍しておき、使うときに解凍してバターソテーや、胡麻和え、おひたしにします。小松菜はざく切りしてラップで包み冷凍しておきます。

カリフラワー、アスパラ、ブロッコリーなら、固めにゆでてから冷凍保存します。キノコ類は石突きを取って冷凍します。意外かもしれませんが、大根や山芋も冷凍できますよ。すりおろして小さな保存袋に入れ、平らにならして冷凍すればいいんです。

夏の定番の冷たい麺類の薬味になるネギ、ショウガ、ミョウガは小口切りして小分けして冷凍保存し、食べるときは麺つゆに入れるだけ。それだけで自然解凍しますからとっても便利です。

私はトマトも冷凍します。食べる時には固く凍ったトマトをすり下ろしてシャーベット状にして、そうめんのつゆに入れるんです。そのままデザートとしてもおいしくいただけます。

夏野菜はサラダなどで頂くと体を冷やす効果がありますが、最近は冷房で部屋が冷えていたりするので、あまり体を冷やしすぎるのも考えものです。涼しい部屋でずっと過ごすようなら、体を温めてくれるショウガやニンニクを夏野菜と一緒に取るのも健康維持に良いかと思います」

夏野菜は油との相性が抜群。お肌を守るβカロテンの吸収率も高まる!

「それから夏野菜には"油と合う"という特徴もあります。油を使うと野菜がおいしくいただけるだけでなく肌や髪などの健康維持に効果が期待できるβカロテンの吸収率も高まりますので、夏の野菜メニューに是非加えていただきたいですね。

例えば野菜の素揚げなどいかがでしょう。衣をつけずに少量の油で揚げるだけですから簡単ですし後片付けも楽ちん。いろんな野菜の素揚げをそうめんと一緒に頂いたりカレーにトッピングしたりして楽しんでいます。

ナス、ズッキーニ、パプリカ、トマトなどをオリーブオイルで炒め煮するラタトゥイユも、夏野菜と油の相性の良さを活かした料理で、よく冷えた白ワインと一緒に頂くと本当においしいですよね」

――野菜売り場には目新しい野菜も並んでいますが、KAORUさん注目のニューフェイスは?

「パレルモに白ゴーヤ、ピュアホワイトなど。パレルモはパプリカの一種ですごく甘い。ピーマン嫌いの人もいただけます。白ゴーヤは苦みが少なく食べやすいので、ゴーヤの苦さがダメな人も大丈夫です。ピュアホワイトという白いトウモロコシもサラダに彩りを添えてくれる魅力的な野菜ですね。

私はシソやバジルといったハーブ類を観賞用も兼ねてプランターで栽培しています。誰でも簡単に育てられ、夏から秋にかけて、ちょっと摘んで薬味にしたりサラダに使ったりできますのでとても重宝します。今年は無理でも来年には是非挑戦してみてはいかがでしょうか。

profile
KAORU(かおる)
日本野菜ソムリエ協会公認野菜ソムリエタレント。FMラジオ局で報道キャスターを務める傍ら、野菜ソムリエの資格を取得し、全国で第1号の野菜ソムリエとなる。現在は、日本野菜ソムリエ協会の講師として野菜ソムリエの育成に力を注ぐほか、TV・ラジオ・雑誌などで活躍。調味料ジュニアマイスター、ベジフルビューティーセルフアドバイザーなどの資格も活かしレシピ開発や講演なども行っている。2010年10月に書籍「干し野菜手帖」、2011年9月「野菜たっぷり!サンドイッチレシピ」(ともに誠文堂新光社)を出版。東京駅グランスタダイニング内ジュースバー「百果百菜」のレシピも考案している。