――突然まったく違う世界に飛び込んだアキコのように、もし、ある日、小林さんが女優でなくなったらどんな仕事をしているでしょうか?

「特に考えてないですけど、何か出来ると思います。だって、自分が生きていければいいわけですし。ただ、会社員もいろいろと大変ですので自営の方向で(笑)。けど、食堂とかをやるにしても、経営とか仕入れのことは分かりませんし、レジとかも打てませんからね……。女優の仕事を辞めろと言われれば考えますけど、今のところなんとかやらせてもらってますので」

――最終回、アキコが山口先生に宛てた手紙の中に「私、不良になります」というセリフがあるのですが、小林さんの中ではそのセリフをどう解釈しましたか?

「特に何に反骨するというわけではなく、真面目な彼女が『不良になります』と言った時、きっと周りの人たちそれぞれの不良のイメージが浮かんだように、アキコさんはアキコさんなりに描くイメージがあったと思います。それは、今まで自分が『有り得ない』と思っていたことに挑戦してみるとか、それまでの自分の価値観とは違うところにも飛び込んでみるとか、そういうことなんだと思いますね。私が『不良になる!』といっても、せいぜい夜遊びをガンガンするくらいです。夜が苦手なのですぐ寝ちゃうでしょうけど(笑)」

――今回の作品は全4回と短いこともあり、アルバイトのしまちゃん(伽奈)や、ママと一緒に働いているユキちゃん(美波)、客のミサト(市川実和子)、アキコの弟かもしれないフクサコ(加瀬亮)との関係なども含め、余韻を感じさせる終わり方に「もう少し続きを見たい!」という人もきっと多いと思うのですが。

「いやぁ、このくらいで終わっておくのがいいんじゃないですか。もうちょっと見たいな、続きはどうなるんだろう……という腹八分目くらいがちょうどいいと思います(笑)」

連続ドラマW『パンとスープとネコ日和』は7月21日からWOWOWにて放送(第1話は無料放送)

――ところで、小林さんを評して、よく"自然体"という言葉で語られることが多いと思いますが、そのことについてご自身はどう思いますか?

「そう言われるとそうなんだって思いますけど、そんなに意識はしてないんです。ただ、私の場合、よく見せようとか、ちゃんとしてないといけないとか、そういうことをあまり思わないようにしているところはありますね。もちろん、かっこ悪いことや恥ずかしいことはありすますし嫌ですけど、それを隠さないで、みっともない自分や恥ずかしい自分を認めてあげるというか」

――それは年齢を重ねるとともに到達したという感じでしょうか。それとも昔から?

「やっぱり若い頃は今より自意識も過剰だし『私はそんなんじゃない!』みたいな時期もきっとあったかもしれないです。でも、年齢と共に、ここで頑張り過ぎたり、ここで張り切ったりしてもしょうがないと思うようになりましたね。ちゃんとした人に見られたいと思わず、なにより自分が楽で、他人に迷惑をかけなければそれでいいかなと(笑)」